戦略ごっこと未顧客理解はどっちから?476頁の分厚さと引用の難所

「476ページもあるのか。先に薄い方から読むべき?」
芹澤連の『戦略ごっこ』と前著『“未”顧客理解』をどっちから読むか、Amazonを開いて「厚くて読みきれず」「引用が多く難解」のレビューを見た瞬間に手が止まる。『戦略ごっこ―マーケティング以前の問題』は紙で476ページ・背の厚さ3cm、『“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?』は264ページ・1.9cm。同じ著者・同じ日経BP・同じA5判なのに、厚みは1.5倍以上ちがう。
この記事は要約ではなく、2冊を前にした人のための順番と分量の地図だ。読む順番は著者本人の一次発言と、3冊目のリリースで版元が2冊に付けた呼び名で整理し、分厚さの正体を頁数・Kindleの「本の長さ」・引用文献数で数字にする。レビューで「止まる」と言われる位置、「難しい」の中身が2冊でどう違うか、Kindle版のX-Rayや大ファイル注記まで、出典のある事実だけを並べる。当ブログは『“未”顧客理解』を発売翌週の2022年6月24日にKindle版で買い(購入当時2,090円)、『戦略ごっこ』は発売から1年後の2024年12月24日に買った(購入当時2,160円)。エビデンスや理論の中身そのものは扱わない。
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『戦略ごっこ―マーケティング以前の問題』
芹澤連/日経BP/A5判476ページ(2023年12月14日発売・版元表記)/Kindle版は本の長さ521ページ・21.8MB・X-Ray無効/改訂版・文庫なし(2026年10月時点)/紙版のみ副題「エビデンス思考で見極める「事業成長の分岐点」」付き
目次
- 戦略ごっこと“未”顧客理解はどっちから読むか|著者は「本書からでも大丈夫」、前著は「前提知識なし」、版元は2冊を「問題提起編」
- 2冊の書誌と分厚さの正体|紙476頁・背3cm、Kindle521ページ、引用文献は「300報以上」
- 引用と用語で止まる位置|序盤の挫折、注釈は初出1回、地の文に入る論文、前半と後半の温度差
- 「難しい」の中身は2冊で違う|戦略ごっこは三分、“未”顧客理解は二分、評価の数字を並べる
- Kindleで読む前に知っておくこと|X-Rayの有無が逆、21.8MBの大ファイル注記、音声版は確認できず
- 次に読む本と芹澤連の3冊|ブランディングの科学、顧客体験マーケティング、売上の地図、3冊目の“未”顧客戦略
- 買う前に確かめる4点|順番の材料・分厚さの数字・止まる位置・Kindleの仕様
戦略ごっこと“未”顧客理解はどっちから読むか|著者は「本書からでも大丈夫」、前著は「前提知識なし」、版元は2冊を「問題提起編」
著者の芹澤連本人は、コレクシア公式サイトの著者記事(2023年12月7日)の末尾で「時間に余裕のある方は上述の『ブランディングの科学』(朝日新聞出版)か、前著『“未”顧客理解』(日経BP)を読んでおくと、一層理解が深まると思います(もちろん、本書から読み始めても大丈夫です)」と書いている。前著については著者のnote(2022年6月17日)に「前提となる知識やスキルは何もありません」とある。つまり著者は「前著が先だと深まる」「本書からでもよい」の両方を認めていて、順番を指定していない。本記事も裁定はせず、判断材料を並べるところまでにする。
順番に関わる材料は4つある。
- 著者の一次発言(2023年12月・2022年6月)上に引いた2つで、『戦略ごっこ』の側は「前著かブランディングの科学を先に読むと理解が深まる/本書からでも大丈夫」、『“未”顧客理解』の側は「前提知識ゼロ・マンガや図表を多用」。著者はXでも2024年5月1日に「#戦略ごっこ と #未顧客理解 の読み分けについて書いておきます」と投稿している(当ブログは冒頭のみ確認・全文は引かない)。
- 3冊目のリリースが付けた呼び名(2026年1月)村山幹朗との共著『“未”顧客戦略 消費者の無関心から逃げない「記憶×習慣」の科学』(日経BP・2026年1月23日発売・A5判293ページ・当ブログは非所持)のプレスリリース(PR TIMES・2026年1月24日)で、版元側は『“未”顧客理解』『戦略ごっこ』を「問題提起編」、3冊目を「問題解決編」と呼び、「前作『“未”顧客理解』『戦略ごっこ』の読者など、前提知識のある方は第3章から読み始めても構いません」としている。2冊は「セットで前提」という扱いで、2冊の間の順番には触れていない。
- 刊行順『顧客体験マーケティング』(2020年8月・共著)→『“未”顧客理解』(2022年6月)→『戦略ごっこ』(2023年12月)→『“未”顧客戦略』(2026年1月・共著)。刊行順に読むなら前著が先になる、というだけの事実。
- 読者は両方向Amazonの市川春元氏(2024年3月16日・『“未”顧客理解』星5)は「「戦略ごっこ」の本を次に読むことを勧めます」と前著→本書の順を書き、読書メーターのなかしー氏(2025年6月16日・紀伊國屋書店ページ転載)は「同著者の「戦略ごっこ」を読んでから」『“未”顧客理解』を読んだと書く。逆順の実例が両方ある。
| 刊行順 | 書名 | 発売・版元 | 位置づけ(出典の範囲で) |
|---|---|---|---|
| 1 | 顧客体験マーケティング(村山幹朗・芹澤連) | 2020年8月・インプレス・A5判272ページ(版元表記) | 共著の第1作。当ブログ所持(2021年9月購入) |
| 2 | “未”顧客理解 | 2022年6月・日経BP・A5判264ページ | 著者「前提となる知識やスキルは何もありません」(note)。版元リリースで「問題提起編」 |
| 3 | 戦略ごっこ | 2023年12月・日経BP・A5判476ページ | 著者「前著かブランディングの科学が先だと深まる。本書からでも大丈夫」。版元リリースで「問題提起編」 |
| 4 | “未”顧客戦略(村山幹朗・芹澤連) | 2026年1月・日経BP・A5判293ページ | 版元リリースで「問題解決編」。当ブログは非所持 |
当ブログの購入順は冒頭に書いたとおり前著が先だが、それも一つの実例にすぎない。順番を決める前に、分厚さの中身を数字で見ておきたい。
2冊の書誌と分厚さの正体|紙476頁・背3cm、Kindle521ページ、引用文献は「300報以上」
「分厚い」と言われる理由を、版元・Amazon・著者の数字で並べる。頁数は版元ドットコムの表記(紙)とAmazon Kindle版の「本の長さ」を別に置き、差の理由は推測しない。
| 項目 | 戦略ごっこ | “未”顧客理解 |
|---|---|---|
| 発売日(Amazon) | 2023年12月14日 | 2022年6月17日 |
| 紙の頁数(版元表記) | A5判476ページ | A5判264ページ |
| 紙の厚さ(Amazon商品情報) | 21×14.8×3cm | 15×1.9×21.1cm・380g |
| Kindle版「本の長さ」 | 521ページ・21.8MB | 282ページ・22.0MB |
| 構成 | 序章+3部9章+おわりに。Column6本 | 5章+巻末付録「未顧客理解の数学的側面」 |
| 引用文献 | 版元「300以上の海外論文や実証研究」 | 版元コピーに引用文献数の記載なし(コピーは「100ブランド以上で活用された」「マンガや図表を用いて丁寧に解説」) |
| 改訂版・文庫・派生 | なし(2026年10月時点) | なし(同)。派生は2026年1月の共著『“未”顧客戦略』 |
| 紙版 | 単行本(ISBN 4296204041) | 単行本(ISBN 4296112694) |
引用文献の数は、誰が言ったかで数字が変わる。版元のコピーは「300以上」、著者本人はコレクシア公式の記事(2023年12月)で「文中で引用している文献だけで300報以上、参考まで含めるとその倍近く読んでいます」、色校の写真を添えたX(2023年11月22日)では「500本近い海外の論文を読み込み」と書いている。「300報」は本文で引かれた数、「500本近い」「倍近く」は読んだ数と読むのが素直だ。巻末の参考文献リストの実頁数は当ブログでは実測していないため、引用が何ページを占めるかは書かない。
構成は章題だけで性格が分かる。『戦略ごっこ』の9章は章題がすべて「〜のエビデンス」で終わり、部題は「WHO以前」「WHAT以前」「HOW以前」の3つ。辞書のように引く本の形をしている。中身の要約はしないので、章題と節数(節数は読者の目次転記による二次情報)だけ置く。
- 第一部 WHO以前の問題 消費者行動の規則性第1章 新規獲得と離反防止のエビデンス(4節+Column)/第2章 ロイヤルティのエビデンス(8節)/第3章 態度変容、行動変容のエビデンス(7節+Column2本)
- 第二部 WHAT以前の問題 商品・価格の規則性第4章 差別化戦略のエビデンス(7節+Column)/第5章 価格戦略、価格プロモーションのエビデンス(6節+Column)/第6章 商品戦略、ブランドポートフォリオのエビデンス(11節・最多)
- 第三部 HOW以前の問題 広告コミュニケーションの規則性第7章 STP、ブランドイメージ、パーセプションのエビデンス(10節)/第8章 メディアプラン、クリエイティブのエビデンス(9節+Column)/第9章 広告予算、マーケティングROIのエビデンス(8節)
- 前後序章「エビデンスベーストマーケティングとは」と、おわりに「エビデンスが全てなのか?」で挟む
『“未”顧客理解』は第1章「なぜ“未顧客”理解なのか」から第5章「ブランドの再解釈:ケーススタディ」までの5章立てで、数学的な内容は巻末付録「未顧客理解の数学的側面」にまとめて置かれている。著者はnoteで「一部数学的な内容も含みますが、マンガや図表を多用して解説する」と書いており、数学は本文から付録へ寄せた作りだと一次情報から読める。
受賞歴と部数は正確に書いておく。『戦略ごっこ』は日本マーケティング学会「日本マーケティング本 大賞2024」のノミネート9作品の1つ(2024年6月10日発表)で、大賞・準大賞は別の本。「受賞作」ではなくノミネート止まりだ。部数は2024年8月の同学会サロン報告で「マーケティング領域では異例の2万部を超えた」とされ、2026年1月の版元リリースには『“未”顧客理解』とあわせて「いずれも増刷を重ね、アジア各国で翻訳版が発売」とある。副題「エビデンス思考で見極める「事業成長の分岐点」」は紙版の版元表記にあり、Kindle版の商品名には付いていない。
差別化や競争優位の話を「分厚い戦略書」で読むなら、当ブログにはポーターの2冊を論文集から入る理由で整理した記事がある。第4章の章題「差別化戦略のエビデンス」と地続きの文脈だ。
関連記事: 競争戦略論I・IIと競争の戦略、どっちを買う?論文集から入る理由
引用と用語で止まる位置|序盤の挫折、注釈は初出1回、地の文に入る論文、前半と後半の温度差
『戦略ごっこ』のレビューで「止まった」「読みにくい」と書かれた箇所を、位置が分かるものだけ拾う。章の中身は要約せず、声をそのまま並べる。
- 序盤で挫折(Amazon・Breath氏・2024年1月26日・星1)「まだ途中ですが挫折しそうというか、もういっかなという感じです」。同氏は「そのアレコレが膨大なためすべてを頭に入れることは困難で、その都度本を開いて参考にするという使い方にも向いていません」とも書く。
- 用語・略語の注釈が初出1回きり(ブクログ・ブックオフ転載)「本文中には、様々な用語が略語として登場します。その本文中では補足がされていないため、覚えていない人は毎回それを調べなければならず、結構読みにくい」。ブクログのKindle版レビューにも「登場してくる用語に初見のものも少なくなく、調べながら読み進めることでリズムが悪くなってしまった」がある。後述するが、Kindle版の『戦略ごっこ』はX-Rayが無効で、この止まり方と直結する。
- 論文の引用が地の文に入る(BookLive)「引用が多く難解 ただ読み応えあり」。別のレビューは「マーケターとしてある程度の事前知識を持った上で読みましたが、それでも難解に感じたのは、おそらく他文献からの「引用」が多かったからだと思います」。
- 前半と後半の温度差(Amazon・R-Z氏・2026年7月9日・星3)「前半の“壊す力”は強いが、後半の“作る力”は必ずしも同じ強度のエビデンスではないという感じです」「答えをくれる本というより、既存施策を疑うための本として読むのが一番良い」。
- 第8・9章は薄い(Amazonカスタマー・2024年4月7日・星4)「ブランディングの科学で取り上げてない項目は相対的に薄くなっている。8.9章は弱い。個人的にはブランディングの科学の副読本という位置付けです」。『ブランディングの科学』を既に読んだ人の見立てである点に注意。
- 繰り返しが多い(Amazon・Ordinary Cruncher氏・2024年8月29日・星4)「編集がイマイチなのか、これが繰り返し繰り返し出てきて混乱する」。同氏は書名についても「いわゆる戦略論は基本的に出て来ない」と書く。
- 場面分けして読む(note・ウラタコウジ氏・2024年2月5日)「著者は冒頭から「場面分けして考える」ことを強調しており、特定の商品カテゴリに関連づけて読むことが重要」。同氏は「私も本書全体のうち30%くらいしか理解できていない自覚があります」とも書いている。
逆側の声もある。ブクログには「膨大なマーケティング関連の実証研究文献を体系的に解説してくれる本として、かなり目から鱗かつタイパの良い本」「論文などの専門性もありつつ、実践においての事例も交えて説明するので、理解には苦にならなかった」があり、Amazonのたまご氏(2025年2月25日・星5)は「思ったより分厚いですが,内容はすごく充実です」と書く。「厚くて読みきれずに返却」(ブクログ)と「タイパの良い本」(同)が同じ本に付くのは、引用の密度を「調べる手間」と取るか「まとめて読める」と取るかの差だと言える。
「エビデンス」「実証研究」という言葉そのものに慣れていないなら、数式なしで因果と実証研究の読み方を扱う新書から入る手もある。
関連記事: データ分析の力は難しい?数式なし新書の限界と第8章から進む先
「難しい」の中身は2冊で違う|戦略ごっこは三分、“未”顧客理解は二分、評価の数字を並べる
「戦略ごっこ 難しい」「未顧客理解 難しい」はどちらもGoogleのサジェストには出ない語だが、レビューには「難解」「難しい」が繰り返し現れる。中身を分けると、2冊で割れ方が違う。
『戦略ごっこ』の「難しい」は三分される。
- 用語・略語・引用の密度(最多)前節の声。BookLiveには「ブランド、マーケティングの初心者にはむずかしいと思うが、経験の多い人、最新の理論を学びたい人にはお勧め」とある。
- 読めるが実務に転用しにくいAmazonのトップレビュー、ナナチ氏(2024年3月7日・星5)は「面白いけど即戦力にはならない」「娯楽読み物として読むととても楽しい」「本書の例は消費財にかなり偏っている」。noteの中島凌太郎氏(2024年1月21日)は「本書が例にとっているのは大手企業が多く、スモールビジネスオーナーにとっては中々転用がしにくい」。
- 既読者には既視感Ordinary Cruncher氏「内容の大半は『ブランディングの科学』に書かれている」(ただし「完全な下位互換という訳ではない」)、前節の「ブランディングの科学の副読本」。
同じ本を、まっきー氏(2024年8月18日・星5)は「新常識として広まってほしい本」、いぎー氏(2024年8月11日・星5)は「一般的に認められているマーケティング理論に対して、一石を投じる書」と評する。「即戦力にはならない」と「新常識」が同居している本であり、当ブログはどちらにも肩入れしない。
『“未”顧客理解』の「難しい」は二分で、しかも両側の距離が近い。
- 面白いが難しいブクログ(Kindle版)「正直って僕には難しいけれど面白い」、読書メーター(2024年3月11日・紀伊國屋書店ページ転載)「ひゃー難しい…でも面白い!」、はてなブログ・名もなき本棚(2024年5月11日)「言わんとしていることは分かるが、なかなかに難しい」。Amazonのas氏(2024年9月18日・星2)は「馴染みのない用語が多数あり、それらの丁寧な説明がなく、かつカタカナワードが多い」。
- 読みやすいブクログ「ビジネス書が苦手な方でも、具体的な事例や分かりやすい解説が多く、読みやすい一冊」、noteのMY氏(2022年12月27日)「図解やケーススタディも多く、読みやすい」。Amazonのよもぎ氏(2022年7月21日・星5)は「森岡本(確率思考の戦略論)が難しいと感じた人にはよさそう」「顧客のエピソードをマンガで見て、施策を考えるというケースメソッドは分かりやすかった」と書きつつ、「入門向けはない」とも付けている。
読みやすさが割れる理由は構成にも見える。マンガと図表を使う本文と、数学を巻末付録に隔離した作りが「読みやすい」派の根拠で、開きの向きが「読みづらい」派の根拠になっている。ブクログの読者は「個人的に左開きの本ってなーんか読みづらい。右開きにして欲しい」と書いていて、読者レビューによれば『“未”顧客理解』は左開き(横書き)の本だ(『戦略ごっこ』の開きは当ブログでは未確認)。
数字も並べておく。件数・評価は2026年10月1日時点の表示値で、読書メーターの「評価」欄は定義に踏み込まず数値だけ置く。
| 指標 | 戦略ごっこ | “未”顧客理解 |
|---|---|---|
| Amazon評価 | 4.0(230件)・星1 9%・星2以下12% | 4.2(328件)・星1 4%・星2以下9% |
| ブクログ(紙) | 4.06(本棚829人) | 3.99(本棚557人) |
| 読書メーター「評価」(紙) | 60%(306登録) | 75%(246登録) |
| Amazon紙の売れ筋(2026年10月1日) | サービス・小売一般 11位 | マーケティング・セールス全般 443位 |
Amazon評価は『“未”顧客理解』が上(4.2 vs 4.0)、ブクログでは『戦略ごっこ』が上(4.06 vs 3.99)、読書メーターでは再び『“未”顧客理解』が上(75% vs 60%)と、指標ごとに逆転する。『戦略ごっこ』の星1が9%と前著(4%)の倍以上ある理由は、確認できた星1レビューが「挫折」と編集・表現への不満だったことから、分厚さと密度が低評価に直結しているのだろうとレビュー文面から推測している(推測であって統計ではない)。
巻末付録に隔離された「数学的側面」に手を出すなら、中学数学から検定まで独学で進む入門書の記事が前提知識の補いになる。
関連記事: 完全独習 統計学入門は独学できる?中学数学で検定まで行く構成
Kindleで読む前に知っておくこと|X-Rayの有無が逆、21.8MBの大ファイル注記、音声版は確認できず
当ブログは2冊ともKindle版を所持している。商品ページの表示で分かる仕様の差は、読み方を左右する。
- X-Rayの有無が逆Amazonの商品ページでは、『戦略ごっこ』のKindle版はX-Rayが「有効にされていません」、『“未”顧客理解』のKindle版はX-Ray有効と表示される。用語が多いと言われる『戦略ごっこ』の側に、用語を長押しで引く機能が無い。前節の「略語を毎回調べなければならず」という声は、Kindleでも紙と同じ手間になる。
- ファイルサイズは2冊ともほぼ同じ21.8MB(戦略ごっこ)と22.0MB(“未”顧客理解)。ページ数が倍近く違うのにファイルサイズが並ぶ理由は推測しない。『戦略ごっこ』のページには「この本はファイルサイズが大きいため、ダウンロードに時間がかかる場合があります。Kindle端末では3G接続でダウンロードできません」の注記が付く。
- リフロー型2冊ともPage Flip有効・タイプセッティングの改善 有効の表示で、文字サイズを変えられるリフロー型。BookWalkerのページ概数(スマホ標準文字)は『戦略ごっこ』606、『“未”顧客理解』332で、あくまで概数。
- 音声版Audible・audiobook.jpとも、著者名検索で2冊の音声版を2026年10月時点で確認できなかった(「ない」と断定はしない)。
- 紙の中古を探す人へ『“未”顧客理解』は2022年刊で改訂版・新装版が無く、版を選ぶ必要はない。Kindle版はX-Ray有効という差だけ知っておけばよい。
521ページ・21.8MBの本を通勤中に読むなら、端末とWi-Fi環境の話が先に来る。A5判ビジネス書をスマホ・タブレット・電子ペーパーのどれで読むかは、アプリ比較の記事で目的別に整理している。
関連記事: ビジネス書を読むならどの電子書籍アプリ?目的別に徹底比較
次に読む本と芹澤連の3冊|ブランディングの科学、顧客体験マーケティング、売上の地図、3冊目の“未”顧客戦略
著者が「先に読んでおくと理解が深まる」と挙げた本と、著者自身の他の本を、当ブログが所持しているものだけリンクして並べる。
| 方向 | 書名 | 位置づけ(出典の範囲で) |
|---|---|---|
| 著者が先読みを勧める本 | ブランディングの科学 誰も知らないマーケテイングの法則11(バイロン・シャープ・朝日新聞出版) | 著者はコレクシア公式記事で「エビデンスベーストマーケティングに関しては、バイロン・シャープ教授の『ブランディングの科学』以外は邦文の類書がない」と書く。当ブログは2021年8月購入(購入当時1,710円) |
| 同上の続編 | ブランディングの科学 新市場開拓篇 | 同じく2021年8月購入(購入当時1,710円)。『戦略ごっこ』のAmazonページ「この本を読んだ購入者はこれも読んでいます」にも前著・3冊目とともにシリーズが並ぶ |
| 著者の共著第1作 | 顧客体験マーケティング 顧客の変化を読み解いて「売れる」を再現する(Web担選書)(村山幹朗・芹澤連・インプレス・2020年) | 当ブログは2021年9月購入(購入当時1,620円)。芹澤連の単著・共著3冊を刊行順にKindleで揃えている |
| 著者対談で並んだ本 | 売上の地図(池田紀行) | 日経クロストレンドが2026年2月に『戦略ごっこ』との著者対談を告知。当ブログは2022年8月購入(購入当時1,800円) |
| 3冊目(非所持・リンクなし) | “未”顧客戦略 消費者の無関心から逃げない「記憶×習慣」の科学(村山幹朗・芹澤連・日経BP・2026年1月) | 版元リリースで「問題解決編」。A5判293ページ |
著者の略歴は版元プロフィールの範囲で書く。芹澤連(せりざわ・れん)は株式会社コレクシアに所属し、『“未”顧客理解』『顧客体験マーケティング』の著者。肩書きは本ごとに動いていて、『“未”顧客理解』刊行時(2022年)はマーケティングプランニング局長、『戦略ごっこ』刊行時(2023年)はコンサルティング事業部 執行役員の表記で、2026年の日経BPイベントページでは日本エビデンスベーストマーケティング研究機構(EBMI)研究主幹の肩書きが添えられている(最新の肩書きはここでは断定しない)。Amazonの両商品ページ下段「著者について」は2022年版の略歴のままだ。なおGoogleのサジェストで「芹澤連」には「ゴジラ」が並ぶが、映画の芹沢博士とは別人である。
レビューに「いわゆる戦略論は基本的に出て来ない」とあったように、『戦略ごっこ』は書名から想像する戦略論の本とは違う、と読者に受け取られている。戦略論そのものを読みたいなら、診断・方針・行動の3点で戦略を定義する本の方が近い。
関連記事: 良い戦略、悪い戦略はどんな本?診断・方針・行動で読む
同じ「同著者の2冊をどっちから」の迷いは、西口一希の『顧客起点マーケティング』と『顧客起点の経営』にもある。マーケティング定番書の各書ガイドとして同じ型で整理した。
関連記事: 顧客起点マーケティングと顧客起点の経営どっちから?中盤で重なる章
買う前に確かめる4点|順番の材料・分厚さの数字・止まる位置・Kindleの仕様
『戦略ごっこ』と『“未”顧客理解』の間で迷っている人が、カートを動かす前に見ておく点を4つに絞る。
- 順番は著者が指定していない著者は「前著かブランディングの科学を先に読むと深まる。本書からでも大丈夫」(2023年12月)、前著は「前提知識ゼロ」(2022年6月)。3冊目のリリースは2冊をまとめて「問題提起編」と呼び、読者は両方向の実例がある。刊行順に沿うなら前著が先、というだけ。
- 分厚さは引用の数紙476ページ・背3cm、Kindle521ページ。引用文献は版元「300以上」、著者「文中引用だけで300報以上・参考まで含めると倍近く」。前著は264ページ・1.9cm・Kindle282ページで、数学は巻末付録に隔離。
- 止まると言われる位置は序盤と用語序盤の挫折(星1)、注釈が初出1回、論文引用が地の文、前半「壊す」後半「作る」の温度差、第8・9章はブランディングの科学既読者に薄い。逆に「タイパの良い本」の声もある。
- Kindleの仕様は前著が有利X-Rayは『“未”顧客理解』が有効、『戦略ごっこ』は無効。ファイルは2冊とも約22MBで、『戦略ごっこ』には大ファイル注記。音声版は2026年10月時点で確認できず。
当ブログは前著を発売翌週に、本書を1年後に買った。順番の材料はこの記事に出し切ったので、あとは476ページの前で止まっている時間を、どちらかを開く時間に変えるだけだ。

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