バフェットの財務諸表を読む力は難しい?前提知識と5部構成の読み方

「簿記の基本的な勉強に近い感じです」。
メアリー・バフェット『バフェットの財務諸表を読む力』は難しいのか、簿記を知らないと読めないのか。楽天ブックスのレビューにあるこの声の一方で、noteの書評には「本当に初めて会計を学ぶ人でも読める程度」という声もある。バフェットの名前で手に取ると、目次に並ぶのは売掛金・棚卸資産・のれんといった勘定科目。投資の本を買ったつもりが会計の本だった、と感じて止まる人が出る理由はここにあります。
先に整理しておくと、この本の著者はウォーレン・バフェット本人ではなく、息子ピーターの元妻と、オマハの弁護士の共著です。そして「58のルール」は原著の58の章の見出しで、日本語版の目次には5つの部の名前しか載っていない。この記事は要約ではなく、買う前・再開前の地図。著者の立場、5部と付録のどこに何番のルールが入るか、前提知識をめぐって割れているレビュー、文庫や改訂版の有無を、版元の書誌と読者の声で整理します。数値の基準やその当てはめ方は扱いません。
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『史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力 大不況でも投資で勝ち抜く58のルール』
メアリー・バフェット&デビッド・クラーク(峯村利哉 訳)/徳間書店/単行本 4-6変224ページ(2009年3月・版元表記)/文庫なし
目次
- 難しいかの結論|前提知識はレビューで二分。章題は勘定科目で、投資の話は第5部の5項目だけ
- どんな本か|著者はバフェット本人ではない。息子の元妻とオマハの弁護士の共著で、徳間の同シリーズ4作の2作目
- 5部と付録の構成|58のルールの部ごとの番号帯と単行本のおよその頁帯
- 簿記は要るか|「基礎説明は無い」と「初めて会計を学ぶ人でも読める」を並べる。実例は2008年の米企業
- 版と形式|文庫・改訂版はなし(2026年9月時点)。単行本224ページ、Kindleはリフロー210ページ、Audibleなし
- 読む順番と次に読む本|会計側は財務3表一体理解法から本書へ、投資側はバフェット本3冊から本書、証券分析へ
- まとめ|切り口は投資家の目、分量は会計の本。第3部が半分を占める
難しいかの結論|前提知識はレビューで二分。章題は勘定科目で、投資の話は第5部の5項目だけ
簿記や会計の前提が要るかどうかは、レビューが真っ二つに割れていて、当ブログはどちらとも裁定しません。はっきりしているのは目次の側の事実です。58のルールのうち第2部から第4部までの46項目は財務3表の項目ごとの説明で、章題は原著で Revenue、Inventory、Goodwill のように勘定科目名そのもの。買い時・売り時・企業の評価といった投資判断の話は、第5部の5項目に集まっている。
つまり「バフェットの本」として読み始めると、分量の大半は決算書の科目ガイドだ。切り口は投資家の目、分量は会計の本。この組み合わせを先に知っているかどうかで、読み始めてからの戸惑いはかなり変わります。何を期待して開くかで、見つかるものと見つからないものを分けると次のとおり。
| 期待して開く人 | 本書で見つかるもの | 見つからないもの(レビューの声) |
|---|---|---|
| 投資の本として | 第5部の5項目(買い時・売り時・評価法)と、各科目に添えられた「投資家はどこを見るか」の視点 | テクニカル分析。「テクニカル分析の話ではなく、ファンダメンタルズ的な話なので、前半に期待している人は対象外」(楽天ブックス)。株価指標の詳しい話。「PERやPBRといったバリュエーションについても充分な言及はない」(note) |
| 会計の入門として | 財務3表の項目ごとの短い説明(1項目2〜4ページ)と巻末の用語集 | 簿記の仕訳や会計基準の説明。「基礎説明は無いけど、キーワードを簡潔説明し、数字の見方を解説」(紀伊國屋書店の電子版レビュー) |
| バフェット本を何冊も読んだ人 | 科目ごとに整理された辞書的な一覧 | 新しい視点。「バフェット流のユニークな視点はほとんどないので期待して読むとがっかりすると思う」(note)、「中・上級者の方には物足りなく感じるかもしれません」(楽天ブックス) |
向く人の側の声も短く。「投資云々より、バフェットが財務諸表のどこを読んでるのかが知りたくて買った本だが、かなり面白かった」(BookLive)、「本書の厚みは思ったより薄く内容にあまり期待できなかったけど、読んでいくと分かりやすく、バフェットさんがどのように財務諸表を読んでいるのか理解できた」(Amazon・2023年8月)。期待の置き場所が「バフェットの視点で科目を見直す」にある人には、薄さが利点に変わる本だと言える。
どんな本か|著者はバフェット本人ではない。息子の元妻とオマハの弁護士の共著で、徳間の同シリーズ4作の2作目
書誌と著者から確認します。著者のメアリー・バフェットは、ウォーレン・バフェット本人ではありません。徳間書店の著者紹介は「メアリ・バフェットはバフェットの息子の元妻」と書き、本人は2018年のインタビューで、バフェットの末子ピーターと12年間結婚し1993年に離婚したと語っている。共著者のデビッド・クラークは、バフェットの故郷ネブラスカ州オマハで弁護士・ポートフォリオマネジャーとして活動する人物(阪急コミュニケーションズ版の著者紹介)。徳間書店は2人を「バフェットの哲学と手法を研究するバフェットロジーの第一人者」と紹介しています。
バフェット本人の監修や公認を示す記述は、版元にもAmazonの著者欄にも見当たらない。本人の言葉を読みたいなら株主への手紙であって本書ではない、という線引きは先にしておいたほうがいいだろう。裏返せば、本書はバフェットの読み方を研究者が項目ごとに整理した本であり、その立場を知って読めば、章題が勘定科目で並んでいることにも納得がいく。
| 項目 | 内容(出典) |
|---|---|
| 原題 | Warren Buffett and the Interpretation of Financial Statements: The Search for the Company with a Durable Competitive Advantage(Scribner・2008年) |
| 単行本 | 徳間書店・2009年3月21日・4-6変224ページ・ISBN 978-4-19-862705-8(版元表記)。訳者は峯村利哉 |
| Kindle | Amazonの「本の長さ」表記は210ページ・ファイルサイズ25.9MB。X-Ray有効のリフロー型 |
| 構成 | はじめに+5部(58のルール)+付録(損益計算書モデルほか・用語集)。目次は部の名前のみ |
| 評価 | Amazon 4.3(454件・単行本とKindleで共通・2026年9月時点) |
| 版元の位置づけ | 「前著とあわせて読むことで哲学・実践が一体となって身に付く」(前著は『バフェットの教訓』2008年) |
版元の内容紹介は、長期的競争力のある企業を「DCA企業」(Durable Competitive Advantage)と略し、「バフェットがDCA企業を見つけるために財務諸表をどう読んだか伝授」する本だと説明する。本文とレビューでは「永続的競争優位性を持つ企業」という言い方が使われます。帯には「会計はビジネスの言語だ。会計を学ぶ努力をしない限り、そして財務諸表を読んで理解する努力をしない限り、自分で株の銘柄を選択することなど夢のまた夢である」というバフェットの言葉が引かれていて、本書の冒頭にも置かれている文です。
徳間書店から出ている同じ著者コンビの本は4作あり、書名の冠が共通で、副題が「125の知恵」「58のルール」「135の流儀」と数で揃う型。本書はその2作目にあたる。
- 1作目 バフェットの教訓(2008年1月・228ページ・未所持)版元が「前著」と呼ぶ本。哲学の側。
- 2作目 本書(2009年3月・224ページ・所持)財務諸表の側。版元の言い方では実践編。
- 3作目 バフェットの大不況を乗り越える知恵(2010年3月・215ページ・未所持)原題 Warren Buffett's Management Secrets。
- 4作目 新・バフェットの教訓(2025年6月・300ページ・未所持)同じ訳者による最新作。著者コンビは2025年も刊行を続けている。
書店で隣に並びやすい『バフェットの株主総会』はジェフ・マシューズの著作で、この2人の本ではない。著者名で探すときは混同しやすいので注意。
5部と付録の構成|58のルールの部ごとの番号帯と単行本のおよその頁帯
「58のルール」は、原著の58の章の見出しです。各章の冒頭にルールが大きく置かれ、経済アナリストの馬渕磨理子氏は「そのルールはページの冒頭に大きく明記されています」「各ルールの隣には、そのルールに応じて、財務諸表のどの項目を見れば良いのか示されている」と説明している(excite・2022年)。1章は短く、原著の書評は各章が2〜3ページと書き、日本語版の読者は「各項4ページぐらいの長さ」(note)と書く。
ところが日本語版の目次には、5つの部の名前しか載っていない。Amazonのレビューには「難点は、目次がざっくりとしか無くて、見出しの目次が無い点です」「必要な時に辞書代わりに使いたい内容なので、細かい目次がないのはとても残念」(2025年10月)という声がある。読んでいて今どこにいるのか分からなくなるのは、この目次の作りが原因だ。そこで、部ごとにどの番号のルールが入るかを表にした。
断っておくと、番号帯はレビューに付されたルール番号と原著の章目次を突き合わせた推定で、本書自体にこの区切りが書かれているわけではありません。頁帯は他の読者のメモにある単行本の頁番号からのおよその目安で、部の境目の頁も推定です。筆者が所持するKindle版では頁が異なります。
| 部 | 日本語版の部題 | ルール番号帯(推定) | 項目数 | 単行本のおよその頁帯 |
|---|---|---|---|---|
| 第1部 | バフェット流利殖術の要諦 | 1〜7 | 7 | 冒頭からp.50の手前まで |
| 第2部 | バフェット流損益計算書の読み方 | 8〜21 | 14 | p.50〜85前後 |
| 第3部 | バフェット流貸借対照表の読み方 | 22〜50 | 29(最多) | p.95〜160前後 |
| 第4部 | バフェット流キャッシュフロー計算書の読み方 | 51〜53 | 3 | p.170前後 |
| 第5部 | 永続的競争優位性を持つ企業の評価法 | 54〜58(買い時が57・売り時が58) | 5 | 終盤。売り時は「最後の3ページ」(楽天ブックス) |
| 付録 | 永続的競争優位性を持つ企業の損益計算書モデルほか・用語集 | ― | ― | 巻末 |
この表から見えることは三つ。
- 第3部が全体の半分貸借対照表の部は29項目で、損益計算書の部の2倍。現金、棚卸資産、売掛金、のれん、長期借入金と科目名が続き、「今どこにいるか」を見失いやすいのはこの部だ。目次に見出しが無いぶん、上の番号帯を栞代わりにすると位置が掴める。
- 第4部は3項目だけキャッシュフロー計算書の部は極端に薄い。3表を同じ重さで扱う教科書ではなく、貸借対照表に重心のある本だと分かる。
- 投資判断は最後の5項目楽天ブックスのレビューは「主に”買う”ときの話であり”売る”ときの話は最後の3ページのみです」と書く。ここだけを目当てに買うと分量に対して割に合わない。
ルールの文言は、たとえばこういう調子です。「まず第一に、純利益が右肩上がりかどうかを確かめよ」(馬渕氏の紹介から)、「法人税は真実の語り部」(東洋経済オンラインの刊行時書評から)。各ルールが目安とする数字は本書に譲り、この記事では書きません。読み方としては「腰を据えて読み込むよりは隙間時間に読むのに向いている本だと思う」(note)、「『読んでよし』というタイプのものではなく、財務諸表を読むたびに照らし合わせて見るための本だ」(はてなブログ)という声が、部レベルしかない目次の弱点を辞書的な使い方で補っている。
簿記は要るか|「基礎説明は無い」と「初めて会計を学ぶ人でも読める」を並べる。実例は2008年の米企業
前提知識の要否は、同じ本についての声が正反対に割れている。出典つきでそのまま並べます。
| 前提が要る、という声 | 前提は要らない、という声 |
|---|---|
| 「ある程度、簿記・会計の知識があったほうが読みやすいでしょう」(楽天ブックス・2021年) 「一定の会計知識を知ったことを前提に展開されている印象なので、会計の知識や経験に自信のない方は、初学者向けの別の書籍を通ってから読むのがよさそう」(ブクログ) 「簿記3級程度の知識があれば、財務諸表の各項目のもつ意味がわかり、その点では非常に面白い1冊」(honto・2009年) 「税理士が書いたような、細かい財務諸表の読み方です。かなり具体的でとても有益ですが、簿記の知識があっても簡単ではない内容もありました」(Amazon・2025年10月) 「けっこう難解です」(ヨドバシ.com) | 「レベル的には本当に初めて会計を学ぶ人でも読める程度」「財務諸表分析の入門書としてみれば、事前知識がなくても読めるようにやさしく書かれている」(note・2024年) 「簿記の基本的な勉強に近い感じです」(楽天ブックス・2009年) 「全体的に浅く広く書かれていて、かつ内容も簡単なので、非常に読みやすいです」(USCPA学習者のブログ・2020年) 「大げさなタイトルですが、シンプルに財務諸表の読み方の本です」「素人の私にも理解できました」(ヨドバシ.com) 「投資を始めたばかりの方や、決算書を見るのが苦手といった方もすんなり読めると思いますよ」(馬渕磨理子氏・excite) |
どちらが正しいかは決めません。同じ本を「簿記の基本的な勉強に近い」と言う人と「簿記の知識があっても簡単ではない」と言う人がいる。目次の事実から言えるのは、第2〜4部が科目ごとの説明である以上、売掛金・棚卸資産・のれんといった語を初めて見る人は、各項目で「その科目が何か」を自分で補う必要がある、というところまでだ。補う本の候補は最後の節に置いた。
もう一つ、前提として知っておきたいのが実例の時代と国です。本書で繰り返し例に出るのはコカ・コーラ、ムーディーズ、GMといった米企業で、数字は原著が書かれた2008年時点のもの。東洋経済オンラインの刊行時書評は「随所でGMなどを『凡庸な企業』の代表として例証」と書いている(GMは原著刊行の翌年に連邦破産法を申請した)。日本企業の例はありません。この点についての読者の声も、裁定せずに並べておく。
- 馴染みの薄さ「米企業を例に説明しているところは若干馴染みの薄さを感じるものの、言わんとするところに説得力がある」(honto・2009年)
- 情報の古さ「2009年の書籍であるため、少し情報が古い点は留意が必要です」(楽天ブックス・2021年)。一方で「古い本ですが、ファンダメンタルズ分析について他の本にはない視点をたくさん学べました」(個人ブログ・2025年)
- 日本株への当てはめ「バフェットのやり方をそのまま真似れば日本でも必ず利益が出せるほど彼の手法に汎用性はない。しかしながら、財務諸表を見る上で何に注目して見ればよいのかを勉強でき」(創価大学図書館の読書感想文・2019年)
日本株に当てはまるかどうかも、この記事では判断しない。当てはめ方を教える本ではなく、「投資家が科目のどこを見るか」の視点を2008年の米企業を例に並べた本、と受け取っておくのが読み違えの少ない位置づけだろう。
版と形式|文庫・改訂版はなし(2026年9月時点)。単行本224ページ、Kindleはリフロー210ページ、Audibleなし
2009年3月の単行本から、文庫にも新装版にも改訂版にもなっていません(2026年9月時点。国立国会図書館の書誌は2009年の単行本1件のみ、徳間書店の商品ページも単行本だけ、Amazonの購入形式もKindle版と単行本の2つ)。「文庫を待つ」という選択肢は今のところ無い。
| 版 | 表記 | 備考 |
|---|---|---|
| 単行本 | 徳間書店・2009年3月21日・4-6変224ページ(版元表記) | 国立国会図書館や楽天ブックスは220ページ表記。本文は「200ページ程度」(楽天ブックスのレビュー) |
| Kindle版 | 本の長さ210ページ・25.9MB | リフロー型・X-Ray有効。Amazonにはファイルサイズが大きいためダウンロードに時間がかかる場合がある旨の注記 |
| 文庫・新装版・改訂版 | なし(2026年9月時点) | 2009年版がそのまま続いている |
| 音声版 | Audibleに見当たらない(2026年9月時点) | 紙かKindleの二択 |
筆者が所持しているのはKindle版で、2022年6月に購入したもの(購入当時675円。価格は時期により変わります)。Kindleの「本の長さ」は210ページと出て、紙の224ページとは表記が違うが、同じ2009年版の電子版で、頁数の差は表記方式によるものだ。25.9MBというファイルサイズは文字主体の本としては大きく、表が多い本だからです。固定レイアウトではないので、6インチの電子書籍リーダーでも文字サイズを変えて読める。
2009年刊で改訂も文庫もない本は、新刊のまま長く売られる。Kindle版を安く持ちたいなら、セールやクーポンのタイミングを待つのが現実的な選択肢で、ビジネス書のセールが多いストアは次の記事で比較しています。
関連記事: 電子書籍のセール・クーポンが多いアプリ徹底比較|お得に買う3選
読む順番と次に読む本|会計側は財務3表一体理解法から本書へ、投資側はバフェット本3冊から本書、証券分析へ
本書に入る道は二つある。会計側からと、投資側からです。前提知識の争点をどちらに倒すかで、前に置く本が変わる。
| 入口 | 本書の前に読む | 本書の位置 | 本書の後 |
|---|---|---|---|
| 会計側 | 財務3表一体理解法(3表のつながりを掴む) | 項目ごとに投資家の目を足す | 決算書の読み方 最強の教科書(日本の著者による決算書の本) |
| 投資側 | バフェットからの手紙・スノーボール・マンガーの投資術(考え方の本) | 財務諸表の実践編 | 証券分析(財務諸表を自分で読む前提の大著) |
会計側から。「初学者向けの別の書籍を通ってから」というブクログの声に応えるなら、まず『財務3表一体理解法』(國貞克則・朝日新書)で損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書のつながりを掴み、そのうえで本書を項目ごとに読む順番になる。版元は「簿記を勉強しなくても会計がわかる!」「3表を見開き2ページにおさめる」と紹介する本で、筆者の所持は2016年の増補改訂版(2019年12月にKindleで購入)。2021年に新版が出ているので、版の違いと読む順番は別記事に切り出してある。
関連記事: 財務3表一体理解法は難しい?新版と増補改訂版の違いと読む順番
本書を読み終えて、米企業の例から日本企業の決算書に移りたい人には、『決算書の読み方 最強の教科書 決算情報からファクトを掴む技術』(吉田有輝・ソシム・2020年8月・371ページ・国立国会図書館表記)がある。筆者が所持するKindle版は固定レイアウトで375ページ表記・136.4MBと重く、大きな画面の端末向き。本書がリフローで薄いのとは対照的な作りだ。
投資側から。『バフェットからの手紙』『スノーボール』『マンガーの投資術』は、いずれもバフェットとその盟友の考え方を読む本で、財務諸表の科目をどう見るかは扱わない。本人の大著から入らない3冊の順番は、別記事にまとめてある。
関連記事: バフェットの本はどれから読む?本人の大著から入らない3冊ルート
版元は本書を、前著『バフェットの教訓』と「あわせて読むことで哲学・実践が一体となって身に付く」と位置づけている。考え方の本の後に置く実践編、という位置づけは版元自身のものです。その先に待つのが『証券分析』(グレアム&ドッド)で、こちらは財務諸表を自分で読む前提で書かれた分厚い本。その手前に置ける薄い1冊として本書を挟む形になる。証券分析の前に何を置くかは、次の記事で整理しています。
関連記事: 証券分析は初心者に無理か|グレアムの前に置きたい2冊
まとめ|切り口は投資家の目、分量は会計の本。第3部が半分を占める
- 著者はバフェット本人ではない息子ピーターの元妻メアリー・バフェットと、オマハの弁護士デビッド・クラークの共著(徳間書店の紹介では「バフェットロジーの第一人者」)。本人の監修・公認を示す記述は無い。徳間の同シリーズ4作の2作目。
- 58のルールは5部に偏って入っているレビューの番号と原著目次から見るかぎり、要諦1〜7・損益計算書8〜21・貸借対照表22〜50・キャッシュフロー計算書51〜53・評価法54〜58(推定)。第3部が29項目で最も重く、投資判断の話は最後の5項目だけ。目次は部レベルしかないので、この番号帯を栞代わりに。
- 前提知識はレビューで二分「簿記3級程度の知識があれば」「初学者向けの別の書籍を通ってから」と、「初めて会計を学ぶ人でも読める程度」「簿記の基本的な勉強に近い」が同居する。実例は2008年時点の米企業で、日本企業の例は無い。
- 版は単行本とKindleの二択文庫・新装版・改訂版・Audibleはなし(2026年9月時点)。単行本224ページ(版元表記)、Kindleは210ページ表記のリフロー型で25.9MB。
買う前に決めておくのは一つだけ。「バフェットの考え方」を読みたいのか、「バフェットが科目のどこを見るか」を辞書的に持っておきたいのか。前者なら手紙や前著の側へ、後者ならこの本が薄くて速い。第3部の科目の列で位置を見失ったら、上の番号帯の表に戻ってきてください。
本記事は書籍の紹介であり、投資助言ではありません。特定の投資手法や金融商品を推奨するものではなく、実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。書籍の価格は購入当時のものであり、現在の価格とは異なります。
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