決算書の読み方 最強の教科書は難しい?前提知識と止まる7章8章

決算書の読み方 最強の教科書は難しい?前提知識と止まる7章8章

「第7章と第8章は難しすぎたので読みすっ飛ばしました」。
吉田有輝『決算書の読み方 最強の教科書』は難しいのか、簿記の知識はどこまで要るのか。ブクログにあるこの声は簿記3級を勉強中の読者のもので、同じ本に「詳しい知識がなくても楽しく読むことができます」(Yahoo!ショッピング)という声と「上級者向け」(個人ブログ)という声が並んでいる。入門書を1冊読み終えて、次に実物の決算書を読みたいと本書を候補にした人が、この食い違いで手を止める。

版元の書誌文は対象読者を「簿記や会計の知識は一定程度勉強したし、決算書の読み方に関する入門書を読んでみたけど、実物の決算書を前にするとどのように読み進めていけばいいのかが分からない」人と明示しています。この記事は要約ではなく、買う前の地図。版元の位置づけと三方向に割れたレビュー、8章のどこで重くなるか、Kindle版が固定レイアウトである実情、改訂版や正誤表の有無を、版元の書誌と読者の声で整理する。財務指標の式や数値の目安、銘柄の話は扱いません。

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決算書の読み方 最強の教科書 表紙

『決算書の読み方 最強の教科書 決算情報からファクトを掴む技術』

吉田有輝/ソシム/単行本 A5判372ページ・2色刷り(2020年7月27日・版元表記)/Kindle版は固定レイアウト・375ページ表記/改訂版・文庫なし(2026年9月時点)

Amazonで見る(Kindle版)

目次

  1. 難しいかの結論|版元の対象読者は「入門書の次」。レビューは三分し、止まる章は第7章と第8章
  2. どんな本か|著者は公認会計士の吉田有輝。2020年刊・A5判372ページ・7刷・改訂版と文庫はなし
  3. 8章の章題と扱う企業|目次の12社は2020年時点。重いのは第7章・第8章、読み物として推されるのは第3章・第4章
  4. 前提知識の争点|「簿記3級だけでは難しい」「詳しい知識がなくても」「上級者向け」を並べる
  5. Kindle版は固定レイアウト|Amazonの注記原文と375ページ・136.4MB。同テーマで固定は本書だけ
  6. 読む順番と次に読む本|前段は財務3表一体理解法かバフェット本、次は会計指標の比較図鑑
  7. まとめ|入門書の次に置く実践編。後半2章と固定レイアウトを知ってから買う

難しいかの結論|版元の対象読者は「入門書の次」。レビューは三分し、止まる章は第7章と第8章

版元ソシムの書誌文は、対象読者をこう書いています。「簿記や会計の知識は一定程度勉強したし、決算書の読み方に関する入門書を読んでみたけど、実物の決算書を前にするとどのように読み進めていけばいいのかが分からない。本書は、そのような悩みを持たれた方に、「実物の決算書を自力で読み解くためのチカラ」を身に付けていただくための教科書です。」つまり版元の位置づけは、最初の1冊ではなく入門書の次。第1章の副題も「簿記では習わないけど、知っておくべきこと」で、簿記の説明から始まる本ではない。

そのうえでレビューは三つに割れている。「簿記3級だけでは難しい部分もあった」「あくまで入門書の位置づけ」「上級者向け」。同じ本の話とは思えない幅だが、どの声も出典があり、当ブログはどれが正しいかを裁定しません。止まる位置については章番号を挙げた声があり、第7章(M&Aを行った会社の決算書)と第8章(実践編)が重いという方向で一致している。

立場誰が言っているか目次の側の事実
版元入門書を読んだ人が実物の決算書を読むための教科書第1章は「簿記では習わないけど、知っておくべきこと」
簿記の知識が要る簿記3級を勉強中の読者(ブクログ)・簿記の知識がある読者(ブクログ)第7章・第8章は連結・M&A会計・IFRS適用企業を扱う
詳しい知識は不要・入門書の位置づけYahoo!ショッピングの読者・有価証券報告書を時々見る個人投資家(Amazon)第2章以降が実在企業の事例。図が多く2色刷り
中級以上・上級者向け読書メーターの読者・有報探偵・投資系ブログ扱う資料は有価証券報告書・決算説明資料・統合報告書

版元が「入門書の次」と言う以上、入門書側の1冊を先に通っておくのが素直な順番だ。会計側の前段として当ブログが別記事にしているのは『財務3表一体理解法』で、こちらは版元が「簿記を勉強しなくても」と紹介する本。本書の第1章が飛ばしている部分を補う位置にある。

関連記事: 財務3表一体理解法は難しい?新版と増補改訂版の違いと読む順番

どんな本か|著者は公認会計士の吉田有輝。2020年刊・A5判372ページ・7刷・改訂版と文庫はなし

決算書の読み方 最強の教科書 書影

著者から確認します。「吉田有輝」で検索すると同名の野球選手などが上位に出ますが、本書の著者は公認会計士の吉田有輝氏(1993年生まれ)です。Amazonの著者紹介によると、関西学院大学商学部を卒業後、有限責任あずさ監査法人で会計監査、EYストラテジー・アンド・コンサルティングでM&Aの財務デュー・ディリジェンス等に従事し、スタートアップ投資事業の株式会社REAPRAを経て、2022年4月に株式会社Mutualを設立。現在は上場企業のIR支援を中心に事業を行っている。同じジャンルで名前が挙がる矢部謙介氏(『会計指標の比較図鑑』の著者)とは別人なので、著者名で探すときは注意。

執筆の動機は、M&A Onlineの編集部記事(2020年10月)がこう書いている。「まだ20代後半ながら、著者自身も公認会計士として駆け出しのころ、「決算書が読める状態」とは程遠い場所にいることを知り、大きなショックを受けたという。そんな体験が本書執筆の動機になっている。」会計士の資格があっても実物の決算書は別の話だ、という出発点が、版元の「入門書の次」という位置づけと重なる。

項目内容(出典)
書名決算書の読み方 最強の教科書 決算情報からファクトを掴む技術(版元)
単行本ソシム・2020年7月27日・A5判372ページ・全ページ2色刷り(版元表記「オール2C」)・ISBN 978-4-8026-1262-3
Kindle版Amazonの「本の長さ」表記は375ページ・ファイルサイズ136.4MB・固定レイアウト(詳細は第5節)
構成全8章。第1章が基礎知識、第2章から第8章までが実在企業の決算書を読む事例
増刷7刷(2024年7月・著者のX投稿「7刷目の増版が決まりました」)
改訂版・文庫なし(2026年9月時点。国立国会図書館のISBN検索は1件、版元ページも1版、Amazonの購入形式は単行本とKindleの2つ)
正誤表版元サイトに「正誤表・ダウンロード」の欄はあるが、掲載項目はない(2026年9月時点)
評価Amazon 4.2(132件・単行本とKindleで共通・2026年9月時点)

版元の内容紹介は、本書の作りをこう説明する。「本書では、単に決算書における財務指標の意味等を解説するのではなく、実際に上場企業が開示している有価証券報告書、決算説明資料、統合報告書等の様々な情報をフルに活用していきます。」指標の定義を並べる本ではなく、開示資料を材料にして読む手順を追う本。Amazonのレビューはこれを「事例中心で実際に公認会計士が決算書の分析をしていく様を追体験していくイメージ」と表現している(2020年7月・19人が役に立った)。

もう一つ、著者の発信との関係。読書メーターのレビューには「著者のnoteも読むと充実した内容。noteの好事例を集積したのが本書。」という評があります。これはレビュアーの見方であって著者や版元の説明ではないが、著者が代表を務める株式会社Mutualの公式noteにはマガジン「インベスターズ・ジャーナル」があり、刊行前の2019年から2020年にかけて書かれた企業ごとの決算分析記事が残っている。本書の題材企業と同じではないものの、本文の書き方を刊行前に確かめられる場所ではある。

2020年刊で改訂も文庫もない本は、新刊のまま長く売られる。Kindle版を安く持ちたいなら、セールやクーポンのタイミングを待つのが現実的で、ビジネス書のセールが多いストアは次の記事で比較しています。

関連記事: 電子書籍のセール・クーポンが多いアプリ徹底比較|お得に買う3選

8章の章題と扱う企業|目次の12社は2020年時点。重いのは第7章・第8章、読み物として推されるのは第3章・第4章

章の並びは版元ページの目次で全件確認できる。副題に企業名が入っているので、どの章でどの会社を読むかが目次だけで分かります。目次に出る企業は12社で、企業名は刊行時の表記のまま(第7章の日本電産は2023年にニデックへ商号変更している)。本文には目次にない会社も出てくるが、この記事は目次の範囲に留める。

章章題(版元)副題に出る企業(刊行時表記)レビューでの位置
第1章決算書を読みこなすために最低限必要な基礎知識―(副題「簿記では習わないけど、知っておくべきこと」)導入
第2章決算書から会社の優位性を見つけ出すニトリ―
第3章BSから事業の特性を探り出すメルカリ読み物として推される(有報探偵)
第4章複数事業を手がける会社の決算書を読み解く丸井グループ・セブン&アイ・ホールディングス読み物として推される(note)
第5章決算書から事前に危険を察知する方法スカイマーク・江守グループ―
第6章業界ごとの決算書の特徴を知る住友不動産・ファーストリテイリング―
第7章M&Aを行った会社の決算書を読み解く日本電産・ユニゾホールディングス止まる章(ブクログ・ブックオフ)
第8章実践!各企業の決算を読み込んでみようラクスル・ソフトバンクグループ止まる章(同上)

止まる章として章番号を挙げた声は、冒頭に引いたブクログとブックオフに同文で載る2025年5月のレビューです。「簿記3級を勉強中に決算書を読み解けるようになれたらいいなと思って読み方の勉強を始めてみた。3級の知識だけでは難しい部分もあったが、実際に存在する企業と関連させた記述があり大変楽しく読み終えられました。第7章と第8章は難しすぎたので読みすっ飛ばしました。」

章番号を挙げない声も、後半が重いという方向で揃っている。

  • 「最後にかけて少し難しい」ブクログ・2022年1月。前半については「運転資本の考え方が非常にわかりやすかった」と書いている。
  • 「連結決算やM&Aまで対象としているので、時期を見て再読したい」読書メーター・2021年1月。
  • 「連結・M&A解説が他書に比べて詳しく書かれてるので、中級者を目指す上で参考になる一冊」読書メーター・2021年3月。重さを利点として挙げる側の声。
  • 「高度なM&A会計、コーポレートファイナンスについての平易な解説」Amazon・2020年8月。

第7章はM&Aを行った会社(買い手の日本電産と、買収対象側のユニゾホールディングス)、第8章は新興上場企業のラクスルと、ソフトバンクグループを読む実践編。レビューが難所として挙げる語は「連結」「M&A」「のれん」「コングロマリット」「IFRS」で、その中身はこの記事では扱わない。分かるのは、後半2章が連結・M&A会計・IFRS適用企業を扱う章だという表題レベルの事実と、簿記3級を勉強中の読者がそこを「難しすぎた」と書いていることまで。

逆に読み物として名前が挙がるのは前半の章だ。有報探偵は「なかでも筆者が面白かったのは、「第3章 BSから事業の特性を探り出す」である」と書き、noteの書評は「丸井グループをとり上げた第4章がいちばんおもしろい」と書く。第7章・第8章で止まった人がいる一方で、第3章・第4章を面白いと挙げる人がいる。前半と後半で読み味が変わる本だと知っておくと、後半で減速したときに本を閉じずに済む。

鮮度についても一言。ブクログには「今話題のニデックが登場していたり、コロナウイルスの話が少ないため、発行当時2020年から情勢は変わっているように思う。しかし決算書の読み方、考え方は普遍のため、読んでためになると思う。」(2025年12月)という声がある。本書が使う開示資料は刊行時(2020年)のもので、各社の現況とは別物として読む。

前提知識の争点|「簿記3級だけでは難しい」「詳しい知識がなくても」「上級者向け」を並べる

「簿記は要るか」「入門書か中級か」は、同じ本についての声が三方向に割れている。出典つきでそのまま並べます。

簿記の知識が要る、という声詳しい知識は要らない・入門書、という声中級以上・上級者向け、という声
「3級の知識だけでは難しい部分もあったが、実際に存在する企業と関連させた記述があり大変楽しく読み終えられました。」(ブクログ・2025年5月)

「簿記の知識があったからこそまだ理解が及んだといっても過言ではないくらい、専門性に長けている。」(ブクログ・2022年10月)

「初心者向けには少し難解かも知れませんが、巷に溢れる決算書の読み方シリーズの書籍の中でも圧倒的に参考になる・したいエッセンスが凝縮されている実践書です。」(Amazon・2020年8月)
「企業の決算書からの例を出して、一つ一つ丁寧に説明されてます。詳しい知識がなくても楽しく読むことができます。」(Yahoo!ショッピング・2022年3月)

「ただ、この本はあくまで入門書の位置づけだと思いました。」(Amazon・2023年1月・有価証券報告書を時々見る投資家)

「簿記の勉強中に気になり手に取りましたがとても面白く参考になりました。」(Amazon・2021年6月)
「中級者向け。財務三表から起業の背景・ストーリーを読み解く流れを解説。基礎的な用語解説は程々で」(読書メーター・2021年3月)

「基礎知識がしっかりないと理解が難しいかもしれないが、非常に実践的なので、中級以上の個人投資家におすすめだ。」(有報探偵・2022年1月)

「少々難解な部分もありますのである程度決算書の読み方を理解してからお読みください。」(投資系ブログ・2024年12月・「上級者向け」の見出し)

どれが正しいかは決めない。三つの声に共通するのは「実在企業の事例で読む」という本の作りへの評価で、割れているのは前提の置き方だけだ。「中級者向けだが貸借対照表の内容や意味がわかっているなら購入した問題なし!」(Amazon・2024年2月)という声が、争点の置き場所を一番短く言い当てているかもしれない。

もう一つ、読む前に知っておきたい声がある。読んだだけで決算書が読めるようになるかについて、複数の読者が留保をつけている。

  • 「読んでいる時はわかった気になるが、実際に企業の経営状態を分析できるようになるまでにはならない。」ブクログ・2023年9月。
  • 「一回読んだからと言ってすぐに決算書を読み解くことができるわけではなく」ブクログ・2022年10月。
  • 「おそらくは著者が示唆しようとしているよりは、ハードルの高さを感じた。」個人ブログ・2022年9月。研修のテキストとして指定されて読んだ人の声で、「決算書を「読み解く」ための最初の一歩を手伝う本としては良い本なのではないかと感じる。」とも書いている。

版元自身が「実践無くして、決算書を読めるようにはなれないのです」と書いている本なので、読了後に何ができるかはこの記事では約束しません。分量の印象も二分していて、「ページ数が多く見えるが、図がいっぱいあるだけでさくっと読める」(ブクログ・2020年11月)と、「ツラツラと文書が続きすぎている印象があるので、もう少しポイントを絞ってくれれば」(Amazon・2021年10月)が同居する。372ページの2色刷りという書誌は、図の多さの側を裏づけている。

Kindle版は固定レイアウト|Amazonの注記原文と375ページ・136.4MB。同テーマで固定は本書だけ

Kindle版の商品ページには、次の注記があります。「※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。」これはいわゆる固定レイアウト型の電子書籍で、紀伊國屋書店の電子版ページにも同じ注記が載っている。Amazonの出版者向けヘルプ(KDP)は固定レイアウト本を「プリント・レプリカ、マンガ、一部の絵本・児童書や教科書が該当します。このフォーマットでは、本のレイアウトと構造が保持され、表示の調整はできません。」と説明し、別のページで「固定レイアウトのコンテンツでは、フォント サイズを変えることができません」と書いている(KDPヘルプ)。

筆者が所持しているのはこのKindle版で、2021年2月に購入したもの(購入当時818円。価格は時期により変わります)。商品ページの登録情報を、同じテーマで当ブログが扱う本と並べると、固定レイアウトは本書だけです。

本Kindle「本の長さ」ファイルサイズ形式(Amazon登録情報)
決算書の読み方 最強の教科書(本書)375ページ(紙は372ページ)136.4MB固定レイアウト。X-Ray・Page Flip・タイプセッティングの改善はいずれも無効
会計指標の比較図鑑372ページ(紙は272ページ)48.2MBリフロー型。Page Flip・タイプセッティングの改善が有効
「専門家」以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書439ページ46.8MBPage Flip・タイプセッティングの改善が有効なリフロー型(固定レイアウト注記なし)
バフェットの財務諸表を読む力210ページ25.9MBX-Rayが有効なリフロー型
増補版 財務3表一体理解法349ページ27.4MB同じくリフロー型で、X-Rayも有効

136.4MBは、リフロー型の他書のおよそ3倍から5倍の大きさ。紙が A5判372ページの全ページ2色刷りで、ブクログに「図がいっぱいある」と書かれる本なので、紙面をそのまま画像として持つ固定レイアウトになっているのは作りとして自然だ。Amazonの商品ページには、ファイルサイズが大きいためダウンロードに時間がかかる場合があり、Kindle端末では3G接続でダウンロードできないのでWi-Fiを使うようにという定型の注記も付いている。

Kindle端末で読めないわけではない。ただ、文字だけを大きくすることはできず、Amazon自身が「タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末」を勧めているのが商品ページの事実です。6インチの電子書籍リーダーを主な読書端末にしている人は、この本に限っては画面の大きい端末かパソコンのアプリで開く前提で考えたほうがいい。端末ごとの向き不向きは次の記事に切り出してある。

関連記事: 電子書籍リーダーおすすめ比較|KindleとKoboどっちを選ぶ?

図表の多い専門書をスマホやタブレットのアプリで読むときの選び方は、こちら。

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読む順番と次に読む本|前段は財務3表一体理解法かバフェット本、次は会計指標の比較図鑑

版元が「入門書の次」と位置づける本なので、前に1冊置くのが順番の起点になる。入口は会計側と投資側の二つ。本書の後は、1社を深く読む本書とは逆に「並べて見る」本を置いた。

位置本本書との関係所持
前段(会計側)財務3表一体理解法(國貞克則・朝日新書)3表のつながりを掴む入門書。本書の第1章が飛ばす部分Kindle(増補改訂版)
前段(投資側)バフェットの財務諸表を読む力(徳間書店)米企業の科目ごとの見方。本書は日本企業の開示資料で読む実践編Kindle
本書決算書の読み方 最強の教科書1社ずつ有報・決算説明資料・統合報告書まで読むKindle(2021年2月購入)
次会計指標の比較図鑑(矢部謙介・日本実業出版社)40社を図にして並べる。本書と方向が逆Kindle(2026年1月購入)
並走「専門家」以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書(西山茂・東洋経済新報社)会計・ファイナンス・管理会計を横断する22テーマKindle
超入門80分でマスター! ガチ速決算書入門(金川顕教・扶桑社)本書の前の前。191ページKindle

前段の会計側は『財務3表一体理解法』。版の違い(2016年の増補改訂版と2021年の新版)と読む順番は別記事にしてある。投資側から来た人には『バフェットの財務諸表を読む力』があり、こちらは2008年の米企業を例に科目ごとの見方を並べた薄い本で、当ブログの別記事でも本書を「日本の著者による決算書の本」として次に置いている。

関連記事: バフェットの財務諸表を読む力は難しい?前提知識と5部構成の読み方

会計指標の比較図鑑 書影

本書の次に置いたのは『会計指標の比較図鑑 見るだけでKPIの構造から使い方までわかる』(矢部謙介・日本実業出版社・2025年2月21日・A5判272ページ・5章)。版元は「40社の会計指標と決算書をシンプルな図にして、ひと目で比較できるように並べて掲載し、比較しながら会社間のKPIなどの会計指標の共通点、ビジネスモデルや戦略の違いに由来する相違点を解説」する本だと紹介している。本書が1社の開示資料を深く読む縦の本なら、図鑑は40社を横に並べる本で、方向が逆。Kindle版はリフロー型で、こちらは6インチの端末でも文字サイズを変えて読める。矢部氏には先行する姉妹書『決算書の比較図鑑』(2021年10月29日・A5判200ページ・50社以上)もあり、読書メーターには「『決算書の比較図鑑』の姉妹編といっていいような内容」(2026年1月)という声がある。こちらは所持していないので書誌のみ。

並走本として挙げた西山茂氏の『「専門家」以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書』(東洋経済新報社・2019年7月19日)は、版元が「財務会計8テーマ、ファイナンス8テーマ、管理会計6テーマの合計22のテーマを取り上げている」と説明する横断型。決算書だけでなくファイナンスと管理会計まで一度に見渡したい人向けで、本書とは縦横の関係にある。BookLiveのレビューには「特に初学者から中級くらいまでの方に非常にオススメ」と「まったく財務会計の心得がない人が読むなら、結構難易度は高いので注意」の両方があり、こちらも前提の置き方で割れている。

まとめ|入門書の次に置く実践編。後半2章と固定レイアウトを知ってから買う

  • 版元の位置づけは「入門書の次」書誌文は対象読者を、簿記や会計を一定程度勉強し、決算書の入門書を読んだうえで実物の前で止まっている人と明示する。第1章の副題は「簿記では習わないけど、知っておくべきこと」。
  • 前提知識はレビューで三分「3級の知識だけでは難しい部分もあった」「詳しい知識がなくても楽しく」「中級以上の個人投資家におすすめ」が同居する。当ブログは裁定しない。
  • 止まるのは第7章と第8章M&Aを行った会社(日本電産・ユニゾホールディングス)と実践編(ラクスル・ソフトバンクグループ)。「難しすぎた」「最後にかけて少し難しい」「連結・M&A解説が他書に比べて詳しく」で方向が一致。読み物として推されるのは第3章(メルカリ)と第4章(丸井グループ)。
  • Kindle版は固定レイアウト375ページ表記・136.4MB。文字だけの拡大やハイライト・検索は使えず、Amazonは「タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末」を勧めている。同テーマの他書はすべてリフロー型。
  • 版は単行本とKindleの二択2020年7月27日刊・A5判372ページ・2色刷り・7刷(2024年7月)。改訂版・文庫はなく、版元サイトの正誤表欄に掲載項目はない(いずれも2026年9月時点)。著者は公認会計士の吉田有輝氏で、矢部謙介氏とは別人。

買う前に確かめるのは二つ。入門書を1冊通ったか、そして読む端末の画面は大きいか。前者が済んでいれば、第6章までは事例を追う章が続き、第7章からは連結とM&Aの章に入る。そこで減速したら、第3章と第4章を面白いと挙げた読者がいることを思い出して、いったん前半に戻る読み方もある。

本記事は書籍の紹介であり、投資助言ではありません。特定の投資手法や金融商品を推奨するものではなく、実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。書籍の価格は購入当時のものであり、現在の価格とは異なります。

決算書の読み方 最強の教科書 表紙

『決算書の読み方 最強の教科書』(ソシム)

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