頭のいい人が話す前に考えていることはどんな本?目次と口コミの傾向

頭のいい人が話す前に考えていることはどんな本?目次と口コミの傾向

「読み終わった後、『結局何したらええねん』という感じ」。
安達裕哉『頭のいい人が話す前に考えていること』はどんな本で、目次はどうなっていて、口コミはなぜ割れるのか。冒頭の一文はブクログに寄せられた低めの評価の感想(2023年11月)で、同じ本に「要所を7つの法則と5つの思考法に整理されていて」読みやすかったという声(2026年4月)も並ぶ。話題の本だけれど自分に合うのか、買う前に見極めたい人は多いはずだ。

この記事は要約ではなく、買う前の確認用の地図だ。扱うのは、版元ダイヤモンド社の書誌と目次の全体像、336・338・315と書店ごとに違うページ数の理由、口コミの論点、Kindle・楽天Kobo・2種類の音声版、そして「続編はあるのか」「似た書名の本とどう違うのか」。当ブログは2024年10月、『1分で話せ』『話し方の戦略』と同じ日にこの本のKindle版を購入している。

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頭のいい人が話す前に考えていること 表紙

『頭のいい人が話す前に考えていること』

安達裕哉 著/ダイヤモンド社(2023年4月)/四六判並製・336ページ(版元表記)/電子版・音声版あり

Amazonで見る(Kindle版) 楽天Koboで見る

どんな本かの結論|2023年刊・7つの黄金法則と5つの思考法の2部構成

『頭のいい人が話す前に考えていること』は、ダイヤモンド社から2023年4月に出たコミュニケーションの本で、第1部「7つの黄金法則」と第2部「5つの思考法」の2部構成をとる。話し方のテクニック集ではなく、話す前の考え方を扱う本だと版元自身が位置づけている。

版元の内容紹介は「どれだけ考えても、伝わらなければ意味がない。でも、話し方のスキルだけでは、人の心は動かせない。」と始まる。国立国会図書館(NDL)の書誌には、7つの黄金法則と、それをもとに深く考える5つの方法を紹介する本、という趣旨の説明に続けて「切り取って書き込むシート付き」とある。

著者の安達裕哉氏は、デロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)出身のコンサルタントで、現在はティネクト株式会社の代表取締役。個人ブログとして始めたビジネスメディア「Books&Apps」の運営者でもある(版元の著者紹介より)。

売れ方については、日販の2023年年間ベストセラーで「単行本ビジネス」第1位になったと報じられ(J-CAST BOOKウォッチ、2023年12月)、版元は2024年も含めた「2年連続年間ベストセラー1位」をうたっている。書店の平台で目にする機会が多いのはこのためだ。

頭のいい人が話す前に考えていること 表紙

紙の本で手元に置きたいなら、単行本(ソフトカバー)はISBN 978-4-478-11669-2。後で触れる書き込みシートは、NDLの紙版書誌に書かれている付録だ。

目次の全体像と、336・338・315ページの表記ゆれ

版元ページに載っている目次を、部・章の単位でまとめると次の表になる。見出しの中身の解説はしない。「どこに何が並んでいるか」だけを見てほしい。

区分見出し(版元目次)小見出しの数
はじめに「頭のいい人が考えていること」知っただけでは意味がない/本書で目指したのは読み返さなくていい本2
第1部 その1頭が悪くなる瞬間、頭がよくなる時間5
第1部 その2頭のよさを決めるのは「だれ」だ?7
第1部 その3なぜ、コンサルは入社1年目でもその道30年の社長にアドバイスできるのか?5
第1部 その4頭のいい人は、論破しない3
第1部 その5「話し方」だけうまくなるな4
第1部 その6知識が「知性」に変わるとき3
第1部 その7承認欲求をコントロールできる者がコミュニケーションの強者になれる3
第2部 第1章まずは、バカな話し方をやめる(「客観視」の思考法)5
第2部 第2章なぜ、頭のいい人の話はわかりやすいのか?(「整理」の思考法)4
第2部 第3章ちゃんと考える前に、ちゃんと聞こう(「傾聴」の思考法)3
第2部 第4章深く聞く技術と教わる技術(「質問」の思考法)4
第2部 第5章最後に言葉にしてインパクトを残す(「言語化」の思考法)4
巻末おわりに/賢くあり続けるための読書リスト/参考文献―

数えてみると、第1部は7項目で小見出し30、第2部は5章で小見出し20。第1部の各項目の終わりには「黄金法則 その1」のように、その項目を締めるまとめの見出しが置かれている。小見出しの数で見ると、考え方を扱う前半の第1部に比重が置かれている。

巻末の「賢くあり続けるための読書リスト」は、読者の感想でも「数珠繋ぎ読みには非常によい」(ブクログ、2025年12月)と挙がる部分。次に読む本を探す人には、目次で見落としやすい場所になる。

ページ数はどれが正しい?

検索すると336ページと338ページの両方が出てきて迷う。出典ごとに並べるとこうなる。

出典表記
ダイヤモンド社(版元ページ)336ページ・46並(四六判並製)
国立国会図書館335p・19cm
Amazon(単行本)・紀伊國屋書店・ブクログ338ページ
Amazon(Kindle版「本の長さ」)315ページ

どれも同じ一冊を指している。ISBNは一つで、改訂版や新版は見当たらないので、数え方の違いと考えてよさそうだ。Kindle版の「本の長さ」は紙のページ数とは別に算出される目安の数字になる。この記事では版元の336ページを基準にしている。

口コミの傾向|高評価の理由と「当たり前」という声

評価は全体として高い。ただ、ブクログでは星4の件数が星5を上回っていて、満点一色ではない。2026年10月12日に確認した数字は次のとおり。

サイト平均件数・分布
Amazon4.45,539件(星5 60%・星4 24%・星3 11%・星2 3%・星1 2%)
ブクログ4.10星5 1,367・星4 1,530・星3 711・星2 101・星1 27/感想1,673件
楽天Kobo―レビュー1,089件

では、何が評価され、何が引っかかっているのか。ブクログの感想から論点を拾うと、おおむね次の2つの山に分かれる。

  • 高評価側:整理されていて読みやすい「要所を7つの法則と5つの思考法に整理されていて」すらすら読めたという感想(2026年4月)が代表的だ。「巻頭にまとめが付いているのは嬉しい」(2025年10月)、巻末の推薦本リストを評価する声も複数ある。
  • 低評価側:当たり前で新しい発見がない「抽象的で当たり前やんと思うことばかりで新たな発見はなかった」(2026年9月)、「ロジカルシンキングやアウトプットの本の内容を体系的にまとめ直した感」(2024年12月)。
  • 中間:網羅的だが驚きは少ない「良い意味では情報が網羅され、悪い意味では驚きはありませんでした。新卒だと良いのかな」(2023年12月)。

もう一つ目立つのが、「はじめに」の見出しにある「読み返さなくていい本」という触れ込みとの落差だ。ブクログには「ただ読んだだけでは全く頭に入らなかった」(2025年12月)という感想がある。逆に言えば、巻頭のまとめと書き込みシートを手元で使う前提の本、という読み方もできる。

評価が割れる理由は、読者がそれまでにどれだけコミュニケーションやロジカルシンキングの本を読んできたかの差に見える。初めてこの分野の本を手に取る人と、すでに何冊も読んできた人とでは、同じ目次の受け取り方が違ってくる。

対人コミュニケーションの古典から入りたい人は、カーネギーの定番書を版の違いから整理した記事も参考になる。

関連記事: 人を動かすはどんな本?完全版と旧版の違いも整理

Kindle・Kobo・音声版|Audibleとaudiobook.jpは別収録

電子版は紙とほぼ同時に出ている。Kindle版の発売日は2023年4月18日で、紙版(4月19日)より1日早い。版元ページの電子書籍欄には、Kindle・楽天Kobo・紀伊國屋書店Kinoppy・honto・Google Play・Apple Booksが並ぶ。版元ページには「たちよみする」ボタンもあり、買う前に冒頭を確かめられる。

「pdf」で探している人もいるようだが、正規に読めるのはこれらの電子書籍ストアの版だ。

音声版は2社から出ていて、ナレーターも再生時間も違う別収録になっている。

形態配信・発売中身の量補足(2026年10月12日確認)
紙(単行本)2023年4月19日336ページ(版元)書き込みシート付き(NDL書誌)
Kindle版2023年4月18日315ページ表記ファイルサイズ32.1MB。Page Flip有効
楽天Kobo版2023年4月18日―発売日・版元は楽天Koboの商品ページで確認
Audible2023年9月22日4時間44分ナレーター高城亨。付属PDFあり。商品ページに「聴き放題対象外」と表示
audiobook.jp2023年8月4日5時間6分(19トラック)ナレーター市村徹。添付資料あり

同じ本でも、Audible版とaudiobook.jp版では声も長さも違う。どちらにも付属資料がつく。聴き放題の対象かどうかは時期によって変わるので、購入前に各サービスの商品ページで確かめてほしい。2つのサービスの料金体系や使い分けは別の記事で比べている。

関連記事: オーディオブック比較|Audibleとaudiobook.jpの違いと選び方

続編はある?同じ著者の新刊と似た書名の本

2026年10月時点で、この本の続編・漫画版・図解版は見つからない。版元ページの関連書籍欄にも、それらしい本は並んでいない。翻訳版としては、台湾の悦知文化から中国語版が出ている。

取り違えやすいのは次の2冊だ。

書名著者・版元・刊行この本との関係
頭のいい人が話す前に考えていること安達裕哉/ダイヤモンド社/2023年4月本記事の本
コミュ力が高い人が話しながら意識していること安達裕哉/日本実業出版社/2026年2月同じ著者の別の本。版元が違い、続編とは書かれていない
頭がいい人、悪い人の話し方樋口裕一/PHP新書/2004年7月別の著者の本。書名が似ているだけ

2026年の新刊は書名が「話す前に」から「話しながら」に変わっていて、続編のように見える。ただ、出版社の内容紹介は「ベストセラー『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者が『本当に必要なコミュニケーション能力』を明かします」という書き方で、続編や第2弾とはうたっていない。順番を気にせず、別の一冊として選んでよい。

樋口裕一氏の『頭がいい人、悪い人の話し方』は2004年に出たPHP新書で、著者も版元も違う。「頭のいい人」「話し方」で検索したときに混ざりやすいので、著者名で見分けたい。

コミュ力が高い人が話しながら意識していること 表紙 頭がいい人、悪い人の話し方 表紙

同じ話し方の棚で、続編と無印のどちらから読むかが分かれる『1分で話せ』は、話し方の定番書を1冊ずつ見ていく記事で先に整理した。

関連記事: 1分で話せと1分で話せ2はどっちから?超実践編の目次とマンガ版

まとめ|向く人・向かない人

  • どんな本かダイヤモンド社・2023年4月刊。第1部「7つの黄金法則」と第2部「5つの思考法」の2部構成で、巻末に読書リストがつく。
  • ページ数版元表記336ページ。338ページ(Amazon単行本ほか)、315ページ(Kindle)も同じ本。
  • 口コミAmazon4.4・ブクログ4.10。「整理されて読みやすい」と「当たり前で新しい発見がない」に分かれる。
  • 読める形紙・Kindle・楽天Koboほか電子各ストア。音声はAudible(4時間44分)とaudiobook.jp(5時間6分)の別収録。
  • 続編確認できない。2026年の『コミュ力が高い人が話しながら意識していること』は同じ著者の別の本。

向いているのは、コミュニケーションの本をこれから読み始める人や、考え方を一冊に整理された形で手元に置きたい人。巻頭のまとめと巻末の読書リストを道しるべに使えば、次の本へもつなげやすい。

向かないかもしれないのは、ロジカルシンキングや傾聴・質問の本をすでに何冊も読んでいて、新しい技法を探している人。レビューの「当たり前」「驚きはない」という声は、こうした読書量の多い層から出ているように読める。話す前の「考える」側をもっと深く掘りたいなら、コンサル出身の著者による思考法の定番書に進む手もある。

関連記事: 論点思考と仮説思考はどっちから?内田和成の「おわりに」と合本版

頭のいい人が話す前に考えていること 表紙

『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)

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