お金の考え方の名著おすすめ|貯める・使う・増やすの順番
「お金の本を読みたいけれど、どれから読めばいいかわからない」。
検索すると出てくるのは20冊、28冊、ときには35選という巨大なリスト。家計簿の本とNISAの本と自己啓発が同じ棚に並んでいて、比べる物差しがないまま、結局どれも選べずにページを閉じた——そんな経験はないでしょうか。
この記事は逆の作り方をしました。紹介するのは「お金の考え方」を扱う名著5冊だけ。しかも「貯めろ」と説く本と「使え」と説く本をあえて正面からぶつけ、貯める・使う・増やすの3つの軸に置いて読む順番を設計します。5冊はすべて筆者がKindleで購入して所持している本で、うち2冊は読了済み。それぞれに深掘り記事も用意してあるので、気になった本から詳細へ進めます。なお、本記事は書籍の紹介であり投資助言ではありません。
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目次
お金の本選びは冊数ではなく「軸」で決まる
35冊のおすすめリストが選べないのは、意志が弱いからではありません。あのリストには家計管理の実用書、証券口座の開設ガイド、億万長者の伝記、行動経済学の教養書が全部混ざっています。目的の違う本を同じ土俵で並べられても、比べようがない。それだけの話です。
そこで本記事は最初に範囲を切ります。扱うのは「お金の考え方」を変える名著だけ。NISAの制度解説や家計簿のつけ方といった実務は、この記事では扱いません。考え方の本を選ぶときに効くのは冊数ではなく、その本がどの軸に立っているかという整理です。軸は3つあります。
- 貯めるお金が残る人と残らない人を分けるのは知識より心理だ、と説く軸。代表はサイコロジー・オブ・マネー。
- 使う貯め込んだまま死ぬのは損失だ、経験に使え、と説く軸。代表はDIE WITH ZERO。
- 増やす(原則)増やす前に判断の原則とリスクとの付き合い方を固めろ、と説く軸。PRINCIPLESとマネーの公理がここに入ります。
面白いのは、最初の2つの軸が真っ向から対立していることです。「貯めろ」と「使え」。この緊張関係こそが、お金の考え方を立体的にする一番の教材になります。
全体マップ|考え方の名著5冊を「貯める・使う・増やす」に置く
5冊を軸ごとに置くと、こうなります。すべて筆者の実蔵書です。
| 軸 | 書名 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 貯める | サイコロジー・オブ・マネー | お金が残るかどうかは心理で決まる |
| 使う | DIE WITH ZERO | 思い出に変えられないお金は持ち腐れ |
| 原則 | PRINCIPLES(本編) | 判断をルール化して迷いを減らす |
| 原則 | PRINCIPLES FOR SUCCESS(要約版) | 本編590ページの入口になる1冊 |
| 増やす | マネーの公理 | スイスの投機家に伝わるリスクの哲学 |
読む順番は「貯める→使う→原則・増やす」を推します。理由は単純で、貯める側の心理から入ると土台ができ、使う側の主張を劇薬として受け止められるようになるからです。逆順で読むと「使え」だけが残ってしまい、対立の面白さが半減します。
順番の全体像はこのあと最後の章でもう一度まとめるので、まずは1冊ずつ、どんな本かを見ていきましょう。
貯める側の1冊|サイコロジー・オブ・マネー
モーガン・ハウセル著、ダイヤモンド社、328ページ。世界的ベストセラーになったお金の心理学の本で、日本のおすすめランキングでも常連です。核にあるメッセージは「お金で成功するかどうかは、頭の良さより振る舞いで決まる」。読者レビューでは「誤りの余地を何より大切に」「自分がしているゲームを明確にする」といった言葉がよく引かれます。要するに、天才的な投資判断ではなく、失敗しても退場しない余白と、他人と比べない軸を持てるかが分かれ目だ、という主張です。
向かない人にも触れておくと、レビューには「当たり前のことを長々と」という批判も一定数あります。テクニックの本ではないので、明日から使える裏技を求めて開くと肩透かしを食うはず。逆に、貯金はしているのに漠然と不安が消えない人には、その不安の正体を言語化してくれる1冊になります。筆者は2022年8月に購入して所持しています。
関連記事: サイコロジー・オブ・マネーはどんな本?貯める側の心理学
使う側の1冊|DIE WITH ZEROは批判込みで読むから効く
ビル・パーキンス著、ダイヤモンド社、280ページ。タイトルの意味は「ゼロで死ね」。貯め込んだまま人生を終えるのは、経験に変えられたはずの時間を捨てることだ——と、貯める側の常識を真正面から否定する本です。今しかできない経験に使う「タイムバケット」、経験が後年も配当を生むという「記憶の配当」など、道具立ての言葉が強く、読後にお金の使い方を考え直させる力があります。筆者は2025年5月に購入し、読了しています。
ただし、この本は批判とセットで読むことをすすめます。レビューには「富裕層すぎて共感しづらい」「日本の社会保障を前提にすると現実味が薄い」という声が実際にあり、これは的外れではありません。著者は元ウォール街のエネルギートレーダーとして成功した人物で、前提となる資産規模が読者と違う場面があるからです。批判を知ったうえで「それでも持ち帰れる考え方は何か」を選り分ける読み方なら、劇薬はちょうどいい薬になる。批判側の論点は深掘り記事で整理しています。
関連記事: DIE WITH ZEROは富裕層向け?批判込みで読む価値
そして、この本の一番おいしい読み方は単品ではありません。「貯めろ」のサイコロジー・オブ・マネーと「使え」のDIE WITH ZERO。2冊を対で読むと、自分がどちらに寄りすぎているかが浮かび上がります。どちらを先に読むべきかは、比較記事で正面から検討しました。
関連記事: DIE WITH ZEROとサイコロジー・オブ・マネー、どっち?
原則と増やす側|PRINCIPLESとマネーの公理
「貯める」と「使う」の対立を消化したら、次は判断の土台です。ここに置くのが残りの3冊。性格の違う2つの名著と、その入口役です。
『PRINCIPLES 人生と仕事の原則』はレイ・ダリオ著、日本経済新聞出版、590ページ。世界最大級のヘッジファンドを築いた著者が、人生と仕事の判断基準を「原則」として書き切った本です。お金そのものより「決め方」を扱う本ですが、迷うたびに場当たりで判断するのではなく、原則を先に決めておくという発想は、お金の考え方の背骨になります。筆者は2020年12月に購入し、読了しています。分厚さに構える人には、筆者が購入当時900円で手に入れた要約版『PRINCIPLES FOR SUCCESS』という入口もあり、本編とどう使い分けるかは深掘り記事にまとめました。
関連記事: PRINCIPLESは分厚い?本編と要約版の使い分け
最後の1冊、『マネーの公理』はマックス・ギュンター著、日経BP、260ページ。スイスの銀行家に伝わる「儲けのルール」を12の公理にまとめた1980年代の古典で、5冊の中では最も攻めた立ち位置です。「船が沈みはじめたら、祈るな。飛び込め」という一節に象徴されるとおり、リスクを避けるのではなく引き受け方と手放し方を考えさせる本です。増やす軸とはいえ具体的な投資手法の本ではないので、ここでも学ぶのは哲学のほう。だからこそ、この並びの締めにふさわしい1冊です。筆者は2021年9月に購入して所持しています。
関連記事: マネーの公理はどんな本?スイス流「リスクの哲学」の読み方
実務の本に進む前に|5冊の読む順番まとめ
結論の順番です。迷ったらこの通りに読んでください。
- 1冊目: サイコロジー・オブ・マネー(貯める)お金と心理の関係という土台を作る。ここが一番くせがなく、最初の1冊に向きます。
- 2冊目: DIE WITH ZERO(使う)土台ができた状態で劇薬を入れる。批判込みで読み、1冊目とどちらに自分が寄っているかを確かめる。
- 3冊目: PRINCIPLES(原則)対立を自分なりに裁くための「決め方」を学ぶ。分厚さが不安なら要約版から。
- 4冊目: マネーの公理(増やす)最後にリスクの哲学。増やす行動に進む前の心構えとして読む。
この4ステップを終えたら、次はいよいよ実務や投資理論の領域ですが、それは別の記事の仕事です。投資の古典は投資・経済の名著の読む順番で、人がなぜ不合理にお金を使うのかは行動経済学の本の入口で、それぞれ実蔵書ベースの順番を組んであります。
お金の考え方は、1冊の正解を探すより、対立する主張を行き来するほうが早く立体になります。貯めるか、使うか。まずは1冊目から、その問いを自分の問いにしてみてください。繰り返しになりますが、本記事は書籍の紹介であり投資助言ではありません。
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