DIE WITH ZEROとサイコロジー・オブ・マネー、どっち?

「結局、貯めるのと使うの、どっちが正しいの?」
『DIE WITH ZERO』は「金を使い切って死ね」と言い、『サイコロジー・オブ・マネー』は「貯めることが自由をつくる」と言う。両方の評判を聞きかじると、正反対のことを言っているように見えて、どちらから手を付けるか決められなくなります。「対で読むべき」という声もよく見かけますが、では先にどっちを読めばいいのか。そこで止まっている人は多いはずです。
筆者は『DIE WITH ZERO』をKindle版で読了し、『サイコロジー・オブ・マネー』も2022年に購入しています。先に結論を言うと、この2冊は対立する本ではなく補完する対で、先に読む1冊はあなたの貯金の悩みのタイプで決まります。この記事では2冊の主張を並べて比較し、タイプ別にどちらから読むべきかを整理します。
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目次
結論: 対で読む。先に読む1冊はタイプで決まる
最初に答えを置きます。この2冊はどちらが正しいかを競う本ではありません。『サイコロジー・オブ・マネー』が「貯めて自由を確保する」側を、『DIE WITH ZERO』が「貯めすぎず適切な時期に使う」側を受け持っていて、読者の間でも「対で読むべき本」という整理が既に定着しています。
だから問いは「どっちが正しいか」ではなく「どっちを先に読むか」。振り分けはシンプルです。
- 貯金は貯まるのに、使うことに罪悪感がある人『DIE WITH ZERO』から。あなたに足りないのは貯め方ではなく「使い時」の考え方。
- 貯金が続かない、またはお金の不安が先に立つ人『サイコロジー・オブ・マネー』から。使い方の前に、貯めることと心理の関係を整える方が先。
なぜこの振り分けになるのか。まず2冊の中身を並べて確かめます。
2冊は何が逆なのか——「使え」と「貯めろ」
並べてみると、扱っているフェーズがきれいに分かれています。
| DIE WITH ZERO | サイコロジー・オブ・マネー | |
|---|---|---|
| 著者 | ビル・パーキンス(元トレーダー) | モーガン・ハウセル(金融コラムニスト) |
| 中心の主張 | お金は経験に変えてこそ価値になる。使い切らずに死ぬのは経験の取り逃がし | お金で買うべき最大のものは自由。貯蓄が選択肢と時間をつくる |
| 鍵になる概念 | 記憶の配当・タイムバケット | 運とリスク・複利・誤りの余地 |
| 扱うフェーズ | お金の使い方・使い時 | お金の貯め方・心理との付き合い方 |
| 刊行(日本語版) | ダイヤモンド社・2020年・280ページ | ダイヤモンド社・2021年・300ページ強 |
つまり「使え vs 貯めろ」に見える対立の正体は、担当範囲の違いです。『DIE WITH ZERO』は貯め方をほとんど扱わず、『サイコロジー・オブ・マネー』は使い時をほとんど扱わない。片方だけ読むと、お金の全体像の半分しか手に入らない構図になっています。
貯まる一方で使えない人はDIE WITH ZEROから
通帳の残高は増えているのに、旅行や学びにお金を出そうとすると手が止まる。「いつかやりたいこと」が何年も先送りされている。そういう人に必要なのは、これ以上の貯蓄術ではありません。
『DIE WITH ZERO』の中核は「経験には使い時がある」という一点です。体力や健康が必要な経験には期限があり、先送りするほど選択肢が減っていく。経験は思い出すたびに喜びを生み続けるから、早く経験するほど「記憶の配当」を受け取る期間が長くなる——この理屈は、貯めることが目的化した人の背中を押すためにあります。筆者もこちらを先に読了しましたが、読む順番として「貯まるのに使えない」悩みに直撃するのはこの本です。
ただし、この本には「富裕層向けでは」「日本では非現実的では」という批判も根強くあります。批判込みの検討は別の記事で扱っているので、買う前に確認したい人はこちらへ。
関連記事: DIE WITH ZEROは富裕層向け?批判込みで読む価値
貯金が続かない・不安が先に立つ人はサイコロジーから
逆に、貯めようと決めても続かない。あるいは貯金はあるのに、いくらあれば安心なのか分からず不安が消えない。この悩みに「使え」の本をぶつけると、不安に拍車がかかるだけです。
『サイコロジー・オブ・マネー』が扱うのは、お金の技術ではなく心理です。成功には運の要素が絡むこと、想定外に備える「誤りの余地」を残すこと、他人と比べず「自分がしているゲーム」を明確にすること。貯蓄を「我慢」ではなく「将来の自分に選択肢と時間を買う行為」として捉え直すのがこの本の仕事で、不安の正体を言語化してくれます。
各章が独立したエッセイ形式で書かれているのも、この本を先に薦めやすい理由です。1章ずつ読めるので、分厚いビジネス書で挫折した経験がある人でも入りやすい。一方で短所もあります。レビューには「当たり前のことを長々と」という批判があり、結論の目新しさを求める読者には物足りない可能性がある本です。単体の詳しい紹介は次の記事にまとめています。
関連記事: サイコロジー・オブ・マネーはどんな本?貯める側の心理学
対で読むときの順番と読み方
2冊とも読むつもりなら、順番の原則はひとつ。自分の悩みに近い方を先に、逆側を後に。先に読んだ本で「自分の話だ」という手応えを得てから、後の1冊で反対側の視点を足す方が、両方の主張が立体的に入ってきます。
読み比べを助ける事実がひとつあります。この2冊、実は同じダイヤモンド社から、同じ児島修さんの訳で出ています。訳文の調子が近いので、続けて読んでも文体の切り替えの負担がほとんどありません。海外のお金の本を2冊続けて読む心理的なハードルは、思っているより低いはずです。
読み終えたら、2冊の結論を自分用に1行ずつメモしておくのがおすすめです。「安心のためにいくら貯めるか」と「その安心を確保したうえで、いつ何に使うか」。2冊が対で機能すると、この2つの問いがセットで手元に残ります。
2冊の先にある本
この2冊で「貯める・使う」の骨格ができたら、次は「増やす」側の古典や、お金の判断を狂わせる心理の本に進むのが自然な流れです。当ブログでは実際に所蔵している投資・経済の名著20冊を読む順番つきで整理しているので、次の1冊はここから選べます。
関連記事: 投資・経済の名著おすすめ|実蔵書20冊で組む読む順番
「どっちを読むか」で止まっていた時間が一番もったいない、というのが調べ終えての実感です。悩みに近い方から、まず1冊。


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