独学大全は挫折しない「引く本」|分厚さに折れない使い方

「この厚みを見て『1週間で読み切ろう』という当初の計画をあっさり撤回した」。
『独学大全』の読者が実際に書き残した言葉です。750ページを超える鈍器のような一冊を前に、同じ撤回をした人は少なくないはず。買ったまま積んでいる。序盤で止まっている。そして「自分は独学にすら挫折した」と落ち込んでいる——なら、朗報があります。

その挫折、そもそも成立していません。『独学大全』は通読する本ではなく、困ったときに引く事典だからです。読み終えることを目標にした時点で、この本の設計を誤読している。この記事では、その根拠と「最初の30分でやること」を具体的な手順で示します。中身の要約はしません。使い方の案内に徹します。

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独学大全 表紙

『独学大全』

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結論: 独学大全は「引く事典」である

これは筆者の独自解釈ではなく、本の設計そのものです。証拠は巻末にあります。

『独学大全』の巻末には「独学困りごと索引」という付録が付いていて、そこにはこう書かれています。「この本が分厚すぎて心が折れそうになったら」→「本書の構成と取説」を読め、「技法35 掬読」を読め。つまり著者自身が、分厚さに折れる読者を想定し、通読以外の使い方を本の中に組み込んでいる。困りごとから該当ページを引く。それがこの本の正規の使い方です。

「通読しないなんて読書としてズルでは」と感じる人は、辞書を思い出してください。辞書を1ページ目から読み通す人はいません。それでも辞書は本棚でいちばん働く本です。独学大全は、独学の辞書。働かせ方だけ知れば、積んでいた日々が今日から資産に変わります。

分厚さの正体を知る

独学大全 表紙

この本は750ページ超・55の技法を収録していますが、構造は単純です。各技法が読み切りで独立していて、どこから読んでも成立する。つまり分厚さは「長い一本道」ではなく「55個の部屋が並ぶ倉庫」です。

倉庫を端から全部見て回る必要はありません。必要な部屋の場所を知っていればいい。実際、この本を使いこなしている読者の声はこうです。「今も月1回以上ページを開くのは3つ(の技法)に絞られている」。750ページ超を買って3技法しか使わないのは損でしょうか。逆です。自分に効く3つを特定できた時点で、この本は元を取っています。残りの52個は、将来困ったときに引ける保険です。

最初の30分でやること3ステップ

  • Step1: 「本書の構成と取説」を読む(10分)冒頭にある取扱説明のパートです。著者がこの本をどう使ってほしいかが全体像として書かれており、ここを最初に読むと設計思想の誤読が消えます。
  • Step2: 目次を2周する(10分)読むのではなく、眺める。55技法の名前と場所をぼんやり頭に入れます。倉庫の見取り図づくりです。
  • Step3: 困りごと索引から1項目引く(10分)「やる気が出ない」「読むのが遅い」——今のあなたの困りごとに近い項目を巻末索引で探し、該当する技法を1つだけ読む。これで「独学大全を使った」実績が1つ立ちます。

30分で通読の呪いが解け、この本はあなたの道具になります。以降は困るたびに引くだけです。

55技法を全部使わなくていい

まじめな人ほど「55個すべて身につけねば」と考えて、また折れます。先の読者のように、常用する技法は数個に絞られていくのが自然な着地です。

おすすめの運用は「引いた技法を試す→効いたものだけ手元に残す→効かなかったものは索引の存在だけ覚えておく」。道具箱の道具は、よく使う数本が手前にあればいい。全部を毎日使う大工はいません。

積んでいた人の再起動法

すでに積んでいる人は、罪悪感ごと再起動しましょう。やることは2つだけ。

ひとつは、今日の困りごとから引き直すこと。「積んでいた本を読み直す」ではなく「今困っていることを1つ解決する」に目的を差し替えます。もうひとつは、机に向かう時間が取れない期間は耳の学習に切り替えること。通勤や家事の時間をオーディオブックに充てれば、独学の総量は机の外で増やせます。主要サービスの違いは比較記事にまとめました。

関連記事: オーディオブック比較|Audibleとaudiobook.jpの違いと選び方

ちなみに筆者がこの本を購入したのは発売直後の2020年10月、購入当時2520円でした。ページ単価で言えば文庫より安い、長く引ける事典です(価格は時期により変わります)。

独学の装備を揃えに行く

独学大全が「学び方」の装備なら、時間・文章・教養にもそれぞれの装備があります。学びの秋に向けた装備一覧は、ガイド記事にまとめています。分厚い本の攻略つながりでは、7つの習慣の記事も同じ考え方です。

関連記事: 独学の名著おすすめ|実蔵書で組む学びの秋の入門ガイド

関連記事: 7つの習慣は分厚くて挫折する?電子書籍でやり直す読み方

まとめ|読み終えなくていい。引ければいい

  • 通読は設計の誤読巻末索引に「分厚すぎて心が折れそうになったら」の項目がある本です。引く事典として使ってください。
  • 最初の30分で道具になる取説→目次2周→索引から1項目。これだけで呪いが解けます。
  • 効く数個が見つかれば元は取れている残り50個は保険。全部使う必要はありません。

積まれた鈍器は、今日から辞書です。まず1項目、引いてみてください。

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