イシューからはじめよは難しい?挫折しない読み方と入口

名著と聞いて開いたのに、数ページで「これは自分向けの本なのか?」と不安になる。
『イシューからはじめよ』は、そういう戸惑いの声が絶えない本です。ビジネス書のおすすめには必ず入っているのに、いざ読むと「知的生産」「イシュー」といった言葉の密度に圧され、コンサルや研究者のための専門書に見えてくる。買ったことを後悔しかけている人もいるでしょう。

先に結論を言います。この本は難しい本ではなく、最初から全部を受け取ろうとすると難しくなる本です。初読は序章と第1章だけでいい。この記事では難しさの正体を3つに分解し、挫折しない読み方と、正直に「向かない人」まで案内します。中身の要約はしません。

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イシューからはじめよ 表紙

『イシューからはじめよ』

安宅和人/英治出版(Kindle版)

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結論: 初読は序章と第1章だけでいい

『イシューからはじめよ』の価値の大半は、前半に置かれた「取り組む問題そのものを選び直す」という一点の発想にあります。後半の章は、その発想を分析・図解・伝達へ展開していく各論です。

だから初読の目標は「全部理解する」ではなく、前半の発想を1つ持ち帰ること。序章と第1章を読んで、明日の仕事の課題設定に1回だけ使ってみる。それでこの本の元は取れますし、続きは必要になったときに読めばいい。名著を1回で使い切ろうとする構えが、挫折の始まりです。

難しいと感じる3つの理由

  • 1. 想定読者が広いこの本はビジネスパーソンと研究者の両方に向けて書かれています。自分と違う側の事例が出てくると「自分向けではないのでは」と感じますが、それは構造上の仕様で、あなたの理解力の問題ではありません。
  • 2. 概念語の密度が高いイシュー、仮説、アウトプット——抽象度の高い言葉が連続します。対策は独学大全式で、分からない語で止まらず「あとで戻る」と決めて進むこと。概念は事例まで読むと像を結びます。
  • 3. 事例の抽象度が高い手取り足取りのハウツーを期待すると、話が大きく感じられます。この本は「作業の仕方」ではなく「作業を始める前の頭の使い方」の本だからです。

この本の核はどこにあるか

ネタバレにならない範囲でひとつだけ、この本の看板概念に触れておきます。「犬の道」という言葉です。

価値ある仕事にたどり着こうとして、目の前の問題を片っ端から量でこなしていく進み方——著者はこれを「犬の道」と呼び、避けるべき道だと述べます。がんばる方向を間違えると、努力の量では取り返せない。この一点に心当たりがある人にとって、本書は読む価値が確定します。逆に言えば、この概念が刺さるかどうかが、序章を読んだ時点でのあなたの判定基準です。

挫折しない読み方: 読む→使う→戻る

おすすめの読み方は三拍子です。

読む: 序章と第1章だけ。数日で終わる分量です。使う: 明日の仕事で、着手する前に「そもそもこれは解くべき問題か」を1回だけ自問する。戻る: 使ってみて足りなくなった部分(分析の組み立て、伝え方)が出てきたら、該当する後半の章に戻る。

この読み方の利点は、後半の各論が「読まされる知識」から「必要になった道具」に変わることです。本は前から読むものという習慣を、実用書では捨てて構いません。

向かない人も正直に言う

今日そのまま真似できる手順集——メールの書き方、資料のテンプレート、時間割——を求めている人には、この本は遠回りに感じられるはずです。その場合は文章術や時間術の実務書から入るほうが満足度が高い。当ブログでは用途別に整理しています。

関連記事: 時間がない人の名著3冊|エッセンシャル思考から始める順番

一方、「忙しく働いているのに成果が薄い」という感覚に心当たりがあるなら、遠回りに見えるこの本が一番の近道になり得ます。

安く買う・次へ進む

筆者は2020年3月に購入当時900円で電子版を入手しました。ビジネス書の電子版はセール対象になることが多いので、購入前にセール状況を見る習慣をつけると積み重ねで差が出ます(価格は時期により変わります)。

関連記事: 電子書籍のセール・クーポンが多いアプリ徹底比較|お得に買う3選

読み方の道具をもっと揃えたい人は、独学大全の使い方と学びの秋の装備ガイドへ。

関連記事: 独学大全は挫折しない「引く本」|分厚さに折れない使い方

まとめ|全部読む本ではなく、始め方を変える本

  • 初読は序章と第1章核の発想を1つ持ち帰って、明日1回使う。それで元が取れます。
  • 難しさは仕様読者の広さ・概念の密度・事例の抽象度。理解力の問題ではありません。
  • 「犬の道」に心当たりがあれば読む価値確定なければ実務書から。それも正しい選択です。

イシューからはじめよ、はまず「全部読まねば」というイシューを疑うところから。

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イシューからはじめよ 表紙

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