文章術の名著はどっち?理科系の作文技術と日本語の作文技術
文章術の本を調べると、最後は必ず2冊が残る。『理科系の作文技術』と『日本語の作文技術』。
どちらも数十年読み継がれる定番で、どちらも「作文技術」を名乗っている。ここで多くの人が止まります。似た本なら評判の良いほうを——と比べ始めると、評判はどちらも良いのだから決まりようがない。
止まる原因は、2冊を「似た本」だと思っていることです。実はこの2冊、直している対象がまったく違います。文書の設計を直すのが理科系、文そのものを直すのが日本語の作文技術。この記事では用途別の選び方と、両方読む場合の順番を案内します。
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結論: 書く文章の種類で選ぶ
| 直したいもの | 選ぶ本 | 例 |
|---|---|---|
| 報告書・仕様書・論文が伝わらない | 理科系の作文技術 | 構成・段落・事実と意見の区別 |
| 一文一文が読みにくいと言われる | 日本語の作文技術 | 修飾語の順序・読点の打ち方 |
自分の文章のどこにダメ出しをされているかを思い出せば、選ぶべき1冊は決まります。「何が言いたいのか分からない」と言われるなら設計の問題、「読みにくい」と言われるなら文の問題です。
理科系の作文技術: 文書の設計図を直す
1981年刊行の中公新書。「理科系」と付いていますが、実質は事実と論理を伝える文書全般の設計術で、ビジネス文書にそのまま効きます。主題を1つに絞る、結論への道筋を先に設計する、事実と意見を区別して書く——扱うのは文の綺麗さではなく、文書が役目を果たすための構造です。
メールも報告書も「読んだ人が迷わず内容を受け取れたか」で評価される文書。その評価を上げたい人の1冊目はこちらです。筆者は2021年6月にリフロー版を購入当時665円で入手しました(価格は時期により変わります)。
日本語の作文技術: 文そのものを直す
<新版>日本語の作文技術(本多勝一・朝日文庫)は、読みやすい日本語の文を作る技術書です。看板は、修飾語を並べる順序と読点の打ち方に法則を与えたこと。「なんとなく読みにくい文」が、なぜ読みにくいのかを理屈で説明し、直し方を法則で示します。
文章のセンスと呼ばれているものの少なくない部分が、実は技術で説明がつく。それを体感させてくれる1冊で、ブログやSNSの文章を直したい人にも効く範囲が広い本です。
両方読むならこの順番
両方読む場合は、日本語の作文技術→理科系の作文技術の順をすすめます。文という部品の精度を先に上げ、その部品で文書という建物を組む順番です。
逆順でも困りはしませんが、設計を学んでも部品の文が読みにくいままだと効果を実感しにくい。部品→設計の順のほうが、上達が目に見えます。ちなみに筆者の購入当時価格は2冊あわせて1200円弱でした(価格は時期により変わります)。文章は仕事で毎日使う道具です。
文章の練習は書く場所とセットで
作文技術は、読んだだけでは定着しません。書く場所(日報・ブログ・メモ)を決めて、学んだ法則をひとつずつ意識して書く。これが唯一の練習法です。
あわせて、良い文例を大量に浴びるのも効きます。読み放題サービスで新書・実用書を乱読すると、整った文章のリズムが体に入ります。月額での乱読は文例収集のコスパが良い方法です。
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知的生産の道具箱へ
文章は知的生産の出口です。入口(問いの立て方)はイシューからはじめよ、道具箱全体は学びの秋ガイドが受け持ちます。
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まとめ|似た2冊ではなく、役割の違う2冊
- 文書が伝わらないなら理科系構成・事実と意見の区別。ビジネス文書の設計図です。
- 文が読みにくいなら日本語の作文技術修飾語の順序と読点。センスを技術に変えます。
- 両方なら部品→設計の順日本語の作文技術→理科系。上達が目に見える順番です。
どちらを選んでも、明日書く文章から試せます。それが文章術の名著の条件です。

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