投資の名著は旧版のままでいい?第12版と第13版で迷ったら

同じ本を、2回買っていました。
『行動経済学の逆襲』を単行本で買ったのが2020年12月26日、購入当時2,268円。その7か月後の2021年6月20日に、同じ本の文庫版を上下巻で買っています。上が420円、下が430円。合わせて850円。Kindleの購入履歴に残っている、筆者の実話です。
原因ははっきりしています。「文庫が出た」という情報が、「その本を今読むのか」という問いより先に手を動かしてしまった。版や形態で迷っている人は、たぶん同じ入口に立っています。この記事では、投資の名著を買うときに版と形態をどう決めるかを、実際の購入記録から整理します。
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目次
同じ本を2回買った話|単行本2,268円のあとに文庫850円
まず、自分の失敗の記録を出しておきます。Kindleの購入履歴に残っている事実です。
| 買ったもの | 購入日 | 購入当時の価格 |
|---|---|---|
| 行動経済学の逆襲(単行本) | 2020-12-26 | 2,268円 |
| 行動経済学の逆襲(文庫 上) | 2021-06-20 | 420円 |
| 行動経済学の逆襲(文庫 下) | 2021-06-20 | 430円 |
同じ内容の本に、7か月の間隔をあけて2回お金を払っています。ここから引き出せる教訓はひとつです。買い直しの判断は、読書の進み具合とは無関係に発生する。積んだままの本ほど、新しい版や安い形態の情報に反応しやすい。まだ読み始めていないからこそ「今のうちに良い形で」と思ってしまうわけです。
版が変わると何が変わるのか|第12版と第13版の場合
ここからは版の話です。『ウォール街のランダム・ウォーカー』を例にします。筆者が持っているのは原著第12版で、2020年10月5日に購入当時1,250円で買いました。現在の最新は原著第13版です。
第13版は50周年の記念版として出ており、日本語版は512ページ。暗号資産やNFT、ミーム株、ESGといった比較的新しい話題への言及が加わっているとされています。一方で、本の芯である「市場は効率的で、個人が市場を出し抜き続けるのは難しい」という論証の骨格は変わっていません。
つまり版の更新で増えているのは、主に時事的な事例の層です。これは他の名著でも似た構造で、『敗者のゲーム』も筆者の所持は原著第6版ですが、現在は第8版が流通しています。版が進んでも、主張の骨格そのものが書き換わるわけではありません。
関連記事: ウォール街のランダム・ウォーカーは難しい?500ページを崩す読む順番
「新しい版が出た」は買い直す理由になるか|判断の3軸
ここが本題です。3つの軸で決めれば、たいてい迷いません。
- 軸1: その本に求めているのは「考え方」か「最新の事実」か考え方の骨格が目当てなら、旧版で足ります。名著が名著と呼ばれているのは骨格の部分です。逆に、直近の市場環境への言及が読みたいなら新版に意味があります。
- 軸2: 旧版を持っているか、まだ買っていないかまだ持っていないなら、素直に最新版でよいはずです。価格差が小さければ迷う理由がありません。すでに旧版を持っているなら話は別で、これは次章に回します。
- 軸3: その本をいつ読むのか1か月以内に読む予定がないなら、買い直す判断は先送りでかまいません。読む時期が来たときに、そのとき最新の版を買えば済みます。筆者が失敗したのはここです。
軸3が一番効きます。買い直しは、読み始める直前に決めれば間に合う。先に買っても、積む期間が延びるだけです。
形態の重複にも注意|単行本・文庫・要約版
版だけでなく、形態の選択でも同じ事故が起きます。パターンを整理しておきます。
| 形態 | 気をつけること |
|---|---|
| 単行本と文庫 | 文庫化で上下巻に分割されることがある。単行本1冊が文庫2冊になると、冊数だけ増えて読む気が遠のく場合もある |
| 本編と要約版 | 別冊として要約・入門版が出ている本がある。本編を読むつもりなら要約版は不要になりやすい |
| 合本版と分冊版 | 合本のほうが安いこともあるが、分量の圧が増す。分冊のほうが読み進めやすい人もいる |
要約版については、筆者にもうひとつ実例があります。レイ・ダリオの『PRINCIPLES 人生と仕事の原則』を2020年12月に購入当時2,000円で買って読み終えたあと、翌年に別冊の『PRINCIPLES FOR SUCCESS』を購入当時900円で買っています。本編を読んだあとに要約版を買っても、開く動機は残りません。順番が逆なら意味があったかもしれません。
旧版を持っているなら、買い直す前にやること
すでに旧版が手元にある場合の答えは、ひとつだけです。
まず読む。 それだけです。
身も蓋もないのですが、旧版を読んでいない状態で新版を買うと、読んでいない本が2冊になります。買い直せば読むようになるかというと、そうはなりません。読まない理由は版ではないからです。
そのうえで、読み終えたあとに「時事的な話題の更新分が読みたい」と思ったら、そのとき新版を検討すればいい。順番はこれで十分です。
なお、名著は電子書籍のセール対象になることがあります。買う時期や、どのアプリで買うかの話であれば、こちらが参考になります。セールやクーポンの傾向はアプリごとに違います。
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まとめ|最新版が常に正解ではない
- 版で増えるのは主に時事的な事例第13版で加わったのは暗号資産・NFT・ミーム株・ESGといった新しい話題への言及。論証の骨格は変わっていない。
- まだ持っていないなら最新版でいい迷う必要があるのは、旧版をすでに持っている場合だけ。
- 買い直しは読む直前に決めれば間に合う先に買っても積む期間が延びるだけ。読む時期が来てから最新版を買えば済む。
- 形態の重複は起きる単行本と文庫、本編と要約版。「安くなった」は買い直す理由になっても、読む理由にはならない。
版で迷っている時間は、たいてい読書の時間より長くなります。手元にある版が旧版でも、読み始めることはできます。え?2回買った『行動経済学の逆襲』ですか?まだ読みきれていないので、この記事をきっかけに文庫の上巻から読み始めます。
本記事は書籍の紹介であり、投資助言ではありません。特定の投資手法や金融商品を推奨するものではなく、実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。書籍の価格は購入当時のものであり、現在の価格とは異なります。


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