UIデザインの教科書は新版を選ぶ?旧版・UIデザイン必携との違い

「定番と聞いたけれど、2019年の本で古くない?」
『UIデザインの教科書』(原田秀司)を勧められた人が止まるのは、新版と2013年の旧版、同じ著者の『UIデザイン必携』のどれを買うかだ。この記事では版の年表・旧版と新版の章題の違い・必携との役割の違い・電子版を読む端末を、買う前の判断材料として整理する。
中古で旧版を見かけた人も、必携と迷っている人も、まず版の並びを押さえれば選び方は決まる。当ブログは2020年11月に新版のKindle版を購入している。
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目次
結論:買うなら新版。旧版の改訂ではなく全面書き直し
これから1冊買うなら、2019年刊の新版を選べばよい。新版は2013年の旧版に手を入れた改訂版ではなく、版元自身が「全面的に書き直し」と明記している別構成の本だからだ。
版元ドットコムに掲載された新版の紹介には、次の一文がある。
本書は2013年刊行の『UIデザインの教科書』をもとにしていますが、最新環境にあわせて、構成及び内容を全面的に書き直しています。
Amazonの旧版の商品ページにも「この商品には新版があります」という表示が出ている(2026年10月16日時点)。章立ても副題も変わっているので、旧版を「少し古いだけの同じ本」とみなすのは避けたい。
新版がどんな本かを、版元の紹介からまとめておく。
- 扱う範囲版元の紹介では「UIにおけるデザインの定義から、ハードおよびソフトによる制約、人間の心理による影響、そして具体的にデザインを形にする方法まで」を、図や画像を使って体系的に解説する本とされている。
- 想定読者「デザイナーはもちろん、エンジニア、ディレクター、発注者など、UI制作に関わる、あらゆる方」(版元紹介)。デザイナー専用の本ではない。
- 著者原田秀司氏。ITベンダーのプログラマー・SE、Web制作会社のディレクターを経て2008年からフリーランスとなり、PC・スマートフォン・タブレット・TV・スマートホーム機器などのUIを設計してきた。合同会社HIDesign代表。
「2019年の本で古くないか」は、目次からある程度見当がつく。章題に並ぶのは「人間の認知特性」「階層と構造」「ナビゲーションとインタラクション」といったテーマで、特定のアプリやツールの操作手順を追う構成ではない。
一方で「2018年時点の内容なので、最新のAIインターフェースや音声アシスタント、AR/VRまでは踏み込んでいません」という読者の指摘もある(note・2025年)。新しい領域まで網羅した本を探しているなら、その点は割り引いて考えたい。
版の年表:2013年の旧版から2022年の必携まで
同じ著者・同じ翔泳社から、似た名前の本が3冊出ている。書誌を刊行順に並べると次のとおり。
| 本 | 副題 | 刊行 | 判型・ページ(版元表記) | 電子版 |
|---|---|---|---|---|
| UIデザインの教科書(旧版) | マルチデバイス時代のサイト設計―アーキテクチャからUXまで | 2013年11月 | 160ページ | あり(楽天Koboに掲載) |
| UIデザインの教科書[新版] | マルチデバイス時代のインターフェース設計 | 2019年1月21日 | B5変型判・208ページ | Kindle・楽天Kobo(当ブログはKindle版を所持) |
| UIデザイン必携 | ユーザーインターフェースの設計と改善を成功させるために | 2022年4月 | A5判・240ページ | あり(楽天Koboに掲載) |
ISBNで見分けるなら、紙の本は旧版が978-4-7981-3333-1、新版が978-4-7981-5545-6、必携が978-4-7981-6962-0。中古ショップやフリマで「UIデザインの教科書」とだけ書かれた出品を見たら、副題とISBNで旧版か新版かを確かめるとよい。
副題の変化も手がかりになる。旧版は「サイト設計」、新版は「インターフェース設計」。Webサイトを軸にした本から、デバイスを問わないインターフェースの本へと、看板そのものが掛け替わっている。
そして2022年の必携は、新版の次の版ではない。書名も判型も違う、同じ著者の別の本だ。この点は「UIデザイン必携とどっち?」の節で詳しく比べる。
旧版の3部構成と新版の7章を章題で比べる
「全面書き直し」は章立てを見ると分かりやすい。中身の解説には踏み込まず、版元ドットコムに載っている目次の章題だけを並べる。
| 旧版(2013年・3部構成) | 新版(2019年・全7章) |
|---|---|
| 01 Webサイトアーキテクチャー―構造について | 1章 デザインの目的とUI/UX |
| 02 デバイスインターフェース―デバイスについて | 2章 物理的な制約 |
| 03 エクスペリエンスデザイン―理解と体験、デザインの追究について | 3章 ソフトウェアの影響 |
| ― | 4章 人間の認知特性 |
| ― | 5章 階層と構造 |
| ― | 6章 ナビゲーションとインタラクション |
| ― | 7章 デザインを形にする |
表の左右は同じ段が対応しているわけではない。旧版は「構造→デバイス→体験」の3部、新版は7章という並びの違いを見るためのものだ。
章題で比べて分かる違いは、次の3つ。
- 「UIとUX」が冒頭の章に旧版では最後の部にあった体験(エクスペリエンス)の話が、新版では1章「デザインの目的とUI/UX」として最初に置かれている。
- 「人間の認知特性」が独立した章に旧版の部の題には出てこない言葉で、新版では4章として1章分が割かれている。
- 「デザインを形にする」が最終章にミニマルデザイン・デザインガイドライン・プロトタイプ・マルチデバイスデザインの項目を含む7章は、新版で加わった章だ。
反対に、旧版にあった「縦・横・前後」の構造、スクロール、一貫性といった言葉は、新版でも項目名として残っている。土台の考え方は引き継ぎつつ、章の組み方を作り直した、というのが目次から読み取れる範囲だ。
旧版をすでに持っている人が新版を買い直すべきかは、目次だけでは決められない。言えるのは「章立てが別物」という事実まで。手元の旧版と上の表を見比べて、新しく章になったテーマに関心があるかで判断したい。
UIデザイン必携とどっち?通読する本と手元に置くルール集
「uiデザインの教科書」で検索すると、候補に『UIデザイン必携』が並ぶ。必携は教科書の後継や改訂版ではなく、同じ原田秀司氏が2022年に出した別の本だ。当ブログは必携を所持していないため、ここでは版元の紹介と目次だけで比べる。
版元は2冊を次のように書き分けている。教科書[新版]の紹介は「使いやすい理由とは何か」を見出しに、定義から形にする方法までを「体系的に解説」する本。必携の紹介は「使いやすさのデザインルール集」「UIデザインの現場で役立つハンドブック」で、「知りたいところから学習していくこともできます」とある。
| 判断軸 | UIデザインの教科書[新版] | UIデザイン必携 |
|---|---|---|
| 版元の位置づけ | 体系的に解説する本 | デザインルール集・ハンドブック |
| 読み方の想定 | 1章から順に読む体系書 | 知りたいところから引ける |
| 構成 | 全7章 | 全6章(UIとデザイン/環境による影響/人間の認知特性/構造とナビゲーション/分かりやすさ、使いやすさ/留意すべきこと) |
| 判型・ページ | B5変型判・208ページ | A5判・240ページ |
| 向く人 | UIの考え方を最初に一通り押さえたい | 作業中に項目単位で確かめたい |
第三者の紹介でも、必携は「体系を学ぶ本というより何度も戻る参照本」と評されている(bookbug・2026年8月)。UI担当になったばかりで全体像から入りたいなら教科書[新版]、すでに手を動かしていて手元で引く本がほしいなら必携、という分け方になるだろう。
2冊とも「人間の認知特性」という章を持つなど、章題には重なりもある。両方そろえるかどうかは、1冊目の目次と照らし合わせてから決めても遅くない。
電子版はどの端末で読むか
新版のKindle版は、スマホより7インチ以上の画面で読む前提の作りになっている。Amazonの商品説明には「固定レイアウトのため7インチ以上の端末での利用を推奨しております」とあり、文字列のハイライト・検索・辞書・引用は使えないと明記されている(2026年10月16日時点)。
- 固定レイアウト紙の誌面をそのまま表示する形式。文字サイズを変えて流し直すことはできない。Kindle版のファイルサイズは97.0MBある。
- 図版と文章の行き来読者のnoteには「文章と画像の位置が遠い」「画像を説明を行ったり来たり」という声がある(2019年)。小さな画面だと、この行き来がさらに増える。
- 向く端末タブレットやPCの大きい画面。紙の本(B5変型判)を選ぶのも手だ。
楽天Koboにも新版の電子書籍版がある(2019年1月21日発売・翔泳社)。楽天ポイントを使いたいならこちらも候補になる。ただしKobo版のレイアウト形式は確認できていないため、購入前に商品ページの説明を確かめてほしい。
Amazonで見る(Kindle版) Amazonで見る(紙の本) 楽天Koboで見る
固定レイアウトの本を読む端末をこれから選ぶなら、画面サイズの違いを比べた記事も参考にしてほしい。
関連記事: 電子書籍リーダーおすすめ比較|KindleとKoboどっちを選ぶ?
まとめ|似た書名の本と取り違えないために
最後に、書名が似ていて混同しやすい本を整理しておく。原田秀司氏の『UIデザインの教科書』とは別の本だ。
この記事の要点は次のとおり。
- 選ぶなら2019年の新版。2013年の旧版を版元が「全面的に書き直し」た本で、章立ても副題も別物。
- 旧版との違い3部構成から7章へ。「UIとUX」「人間の認知特性」「デザインを形にする」が章として立っている。
- 必携との違い教科書は順に読む体系書、必携は2022年刊の同著者のルール集。後継ではない。
- 電子版Kindle版は固定レイアウトで7インチ以上推奨。スマホより大きい画面向き。
UIを学び始めた人の声には、「この本だけでなくセットで、『はじめてのUIデザイン』も読むと初学者には良い」というものもある。まずは新版の7章の章題を眺めて、いま担当している画面の悩みに近い章がどこにあるかを確かめてみてほしい。
![UIデザインの教科書[新版] 表紙](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/P/B07KXNKRMM.09.LZZZZZZZ.jpg)
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