THE MODELは古い?2019年刊の目次と後から出た営業組織の本

「THE MODELを勧められたけど、2019年の本って今読んでも古くない?」
インサイドセールスやカスタマーサクセスの立ち上げを任されると、定番として『THE MODEL』(福田康隆)の名前がよく挙がる。ただ刊行から7年が経ち、買う前に「古いのでは」と止まる人は多い。先に答えると、刊行は古いが、本書は刊行時点で「The Model」の先を扱う本として出ている。判断材料を、刊行年と版・本の位置づけ・後から出た営業組織の本の3つで整理する。
判断には、買う前に確かめられる事実(版・目次・形態・版元の紹介)だけを使う。当ブログは2019年11月に『THE MODEL』のKindle版を購入している。
PR:本記事はプロモーションを含みます。
目次
THE MODELはどんな本か
マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの4部門を、分業から「共業」へつなぐプロセスを示す本だ。著者は福田康隆氏、版元は翔泳社のMarkeZine BOOKSで、2019年1月30日に刊行された。
版元の内容紹介は、「営業が顧客に初めて接触するとき、すでに商談プロセスの半分以上は終わっている」という一文から始まる。そのうえで本書を、SaaSの世界で注目された「The Model」を踏まえて「さらに現状に適した」プロセスを紹介する本と位置づけ、「各論ではなく全体像を俯瞰し」た「極めて実践的な「プレイブック」」と説明している(いずれも版元紹介より)。
著者の経歴は、版元の著者紹介によると次のとおり。
- オラクル・セールスフォース日米のオラクル、セールスフォース・ドットコムで、SaaSビジネスの急成長に立ち会った。
- マルケト日本法人マルケト日本法人で代表を務めた。
国立国会図書館(NDL)の書誌では、紙の単行本は295ページ・19cm。四六判相当だ。楽天ブックスの商品レビューは191件・総合4.29(2026年10月14日時点、紙と電子の合算表示)。レビューが191件集まっていること自体が、営業組織の定番として名前が挙がってきた目安になる。
古いかどうかを判断する3つの材料
答えを先に書くと、刊行年は確かに古い。ただし本書は「The Model」という型の紹介本ではなく、その先のプロセスを示す本として出ている。古さが効いてくるのは、主に事例や数字の鮮度を求める場合だ。
判断に使える材料を、一次資料から3つ並べる。
| 材料 | 事実 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 刊行年と版 | 2019年1月刊。NDLで確認できる福田氏の単著は本書のみで、新版・改訂版・続編は見当たらない | 内容は2019年時点のまま。新しい版を待つ選択肢は、今のところない |
| 電子版の注記 | 楽天Kobo版に「記載内容は印刷出版当時のものです」とある | 電子版で買っても情報は更新されていない |
| 本の位置づけ | 版元紹介は「The Model」を「踏まえて、さらに現状に適した」プロセスと説明。第3章の章題も「「ザ・モデル」のその先へ」 | 刊行時点ですでに「型の先」を扱う本として書かれている |
では、どんな人なら「古い」が問題になるのか。条件別に分けるとこうなる。
- 4部門の全体像をつかみたい人本書は版元自身が「全体像を俯瞰」する本と説明している。部門のつながりを1冊で見渡したいなら、刊行年はあまり気にならない。
- 最新のツールや事例を知りたい人2019年以降の動きは載っていない。後から出た本と組み合わせるのが前提になる(4節で紹介)。
- 「THE MODEL型」の解説だけ欲しい人本書は型そのものの解説より、その先の組織・人材・リーダーシップまで扱う。用語の意味だけなら、本1冊は重いかもしれない。
- 明日の商談で使うトーク例が欲しい人本書の重心は部門のつなぎ方と組織運営にあり、個人の営業テクニック集ではない。別の本から入るほうが早い。
5部15章の目次の地図
「THE MODEL 要約」で探している人へ。中身の要約ではなく、NDLサーチに掲載された目次から全体の地図を示す。注目したいのは、マーケティングから営業までの各部門の話が第3部にまとまり、その前後を組織論が挟んでいる構成だ。
| 部 | 章 |
|---|---|
| 第1部 アメリカで見た新しい営業のスタイル | 第1章 マーク・ベニオフとの出会い/第2章 営業のプロセス管理/第3章 「ザ・モデル」のその先へ |
| 第2部 分業から共業へ | 第4章 2つの変化/第5章 分業の副作用/第6章 レベニューモデルの創造 |
| 第3部 プロセス | 第7章 マーケティング/第8章 インサイドセールス/第9章 営業(フィールドセールス)/第10章 カスタマーサクセス |
| 第4部 3つの基本戦略 | 第11章 市場戦略/第12章 リソースマネジメント/第13章 パフォーマンスマネジメント |
| 第5部 人材・組織・リーダーシップ | 第14章 人材と組織/第15章 リーダーシップ |
このほか冒頭にアレン・マイナー氏の序文と「はじめに」、巻末に「おわりに」がつく。部門ごとの章は第7章〜第10章の4つで、全15章のうち3分の1にも満たない。
つまり、目次から見える本の重心は「各部門のやり方」より「部門をどうつなぎ、どう運営するか」。自分の担当部門の章だけ読みたい人は、第3部から入って第2部に戻る読み方もできる。あなたの担当は第7〜10章のどれにあたるだろうか。
後から出た営業組織の本とどう並べるか
2019年以降の動きを補うなら、同じ翔泳社から後に出た本が手がかりになる。NDLの書誌で確認できたのは次の2冊だ。
| 書名 | 著者・刊行 | THE MODELとの関係 |
|---|---|---|
| インサイドセールス 訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド | 茂野明彦/2020年12月 | 第8章にあたる1部門を1冊で扱う |
| GTM戦略の教科書 | 丸井達郎・廣崎依久/2026年1月・310ページ | マーケティング・営業・CSを成長の仕組みとして扱う、7年後の本 |
並べ方の目安は、担当範囲で決まる。部門をまたぐ設計を任されたなら、全体像のTHE MODELを先に読み、新しい話題を『GTM戦略の教科書』で補う順番が自然だ。インサイドセールス1部門の立ち上げが目の前の仕事なら、専門書から入って全体像に戻る逆の順番もある。
当ブログは『GTM戦略の教科書』のKindle版を2026年2月に購入している。THE MODELの7年後に同じ翔泳社から出た、営業組織まわりの本だ。
マーケティング側の定番書から入りたい人には、顧客理解やBtoBの普及の本を比べた記事もある。
関連記事: 顧客起点マーケティングと顧客起点の経営どっちから?中盤で重なる章
関連記事: キャズムはVer.2でいい?旧版との違いと事例の古さの補い方
紙・Kindle・Kobo・音声版、どれで読むか
形態は4つから選べる。どれも内容は2019年の刊行時点のものだ。
| 形態 | 確認できたこと | 向く使い方 |
|---|---|---|
| 紙(単行本) | 295ページ・19cm(NDL) | チームで回し読み・書き込みしたい |
| Kindle | 配信あり(当ブログ所持) | 章を行き来しながら検索したい |
| 楽天Kobo | 配信あり。「記載内容は印刷出版当時のもの」と注記 | 楽天ポイントで買いたい |
| audiobook.jp | ナレーター河口薫氏・再生時間7時間24分・2020年2月販売開始 | 通勤中に全体像だけ先に聴きたい |
目次の表や組織図を見返しながら読むなら、文字の版が向く。一方で全体像を一度通して把握したいだけなら、音声で先に聴いてから必要な章を文字で読む組み合わせもある。
ビジネス書を電子でそろえるときのストアの選び方、音声サービスの違いは、それぞれ別の記事にまとめている。
関連記事: ビジネス書を読むならどの電子書籍アプリ?目的別に徹底比較
関連記事: オーディオブック比較|Audibleとaudiobook.jpの違いと選び方
まとめ|刊行は古いが、型の紹介本ではない
- 刊行年と版2019年1月刊。新版・続編は見当たらず、電子版も印刷当時の内容のまま。
- 本の位置づけ版元は「The Model」を踏まえた「さらに現状に適した」プロセスの本と説明。第3章の章題も「「ザ・モデル」のその先へ」。
- 目次5部15章。部門別の章は第3部の4章で、前後を組織論・戦略・人材の部が挟む。
- 古さの補い方同じ翔泳社の『インサイドセールス』(2020年)や『GTM戦略の教科書』(2026年)と並べて読む。
「古いかどうか」は、何を求めて読むかで答えが変わる。4部門の全体像が欲しいなら、まず目次の第2部と第3部を見て、自分の担当範囲がどこに入るかを確かめてみてほしい。

コメント
コメントを投稿