謙虚なリーダーシップは新版で何が変わった?旧版9章との違い

謙虚なリーダーシップは新版で何が変わった?旧版9章との違い

勧められた『謙虚なリーダーシップ』を探したら、[新版]と旧版が並んでいた。
謙虚なリーダーシップは新版で何が変わったのか、中古の旧版で足りるのか。2026年7月31日に英治出版から出た[新版]は、全9章だった旧版を4部10章に組み替えた本で、版元は「状況に対する謙虚さ」というコンセプトを加えたと説明している。この記事では、その違いを章題と書誌で確かめていく。

要約ではなく、新旧どちらを手に取るかの判断材料をまとめた記事だ。旧版9章と新版10章の章題を対照表で並べ、原著の版(2018年の初版と2023年の第2版)、頁数の実情、電子版と音声版の有無、旧版Kindleの現在の状態までを、版元・国立国会図書館・Amazonの表示で確認した。当ブログが持っているのは旧版のKindle版(2020年11月購入、購入当時900円)で、新版は持っていない。そのため本文の中身どうしの比較はせず、目次と版元の説明の範囲で違いを示す。リーダーシップの考え方そのものの解説も扱わない。

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謙虚なリーダーシップ[新版] 表紙

『謙虚なリーダーシップ[新版]――役割を超えた関係が、組織の力を解き放つ』

エドガー・H・シャイン、ピーター・A・シャイン 著/野津智子 訳/英治出版(2026年7月31日)/四六判上製240頁(版元表記)

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謙虚なリーダーシップは新版で何が変わったのか

いちばん大きな違いは構成だ。旧版(2020年)は部を持たない全9章、新版(2026年)は全4部10章で、章題がそのまま残っているのは第1章「リーダーシップに対する新しいアプローチ」だけになっている。新版は原著の第2版(2023年)を訳したもので、版元は追加点として「状況に対する謙虚さ」というコンセプトを挙げている。

反対に、変わっていない部分もある。著者はエドガー・H・シャインとピーター・A・シャインの父子、訳者は新旧とも野津智子さん、判型は四六判上製で、版元の頁数表記はどちらも240頁。

  • 変わったこと章構成(9章→4部10章)、原著の版(初版→第2版)、副題、推薦者、版元が挙げる追加コンセプト。
  • 変わらないこと著者、訳者、版元、判型、版元表記の頁数(240頁)。
  • この記事で確かめていないこと新版の本文。旧版にあった事例が新版でどう扱われたかは、章題から読み取れる範囲にとどめる。

旧版と新版を1表で比べる|頁数・訳者・原著・電子版

版元(英治出版)の書誌を軸に、国立国会図書館とAmazonの表示を並べた。確認日はいずれも2026年10月4日。

項目旧版新版
副題1人のリーダーに依存しない組織をつくる役割を超えた関係が、組織の力を解き放つ
発売日2020年4月20日(版元)2026年7月31日
章構成全9章(部なし)全4部10章
頁数版元240頁/国会図書館235p版元240頁/国会図書館238p/Kindle本の長さ177ページ
判型・訳者四六判上製・野津智子四六判上製・野津智子
原著Humble Leadership(2018年)Humble Leadership, Second Edition(2023年8月)
版元紹介の推薦者金井壽宏氏エイミー・エドモンドソン教授
電子版Kindleストアページは「ページが見つかりません」表示/楽天Koboでは見当たらないKindle版あり/楽天Koboあり
音声版なし(audiobook.jp・Audibleで見当たらない)なし(同)
Amazonの評価件数229件5件

頁数は表記の出どころで数字が変わる。版元はどちらも240頁、国会図書館の記録は旧版235p・新版238pで、差はわずか。分量が増えた本と考えるより、同じくらいの厚さの中で章立てを組み替えた本と見る方が実態に近い。Kindle版の「本の長さ」177ページは端末の表示単位による数字で、紙の頁数とは比べられない。

評価件数は、旧版が約6年分、新版が発売2か月分の数字だ。新版は件数が少なく、評価がまだ固まっていない段階にある。

謙虚なリーダーシップ 旧版 表紙

旧版『謙虚なリーダーシップ――1人のリーダーに依存しない組織をつくる』は2020年4月刊。新版の表紙には、英題の後ろに「Second Edition」の表記が入っていて、並べると見分けやすい。

Amazonの旧版(紙の本)の商品ページには「この商品には新版があります」と表示される(2026年10月4日時点)。

章題を並べると見える3つの変化

版元が公開している目次を、そのまま左右に並べた。新版は部の見出しも入れている。

旧版(全9章)新版(全4部10章)
―第1部 謙虚なリーダーシップの核心は何か
第1章 リーダーシップに対する新しいアプローチ第1章 リーダーシップに対する新しいアプローチ
第2章 文化的に定義される関係のレベル第2章 より個人的な関係性を築く
―第2部 さまざまなコンテクストにおける謙虚なリーダーシップの事例
第3章 統治における謙虚なリーダーシップ――シンガポール・ストーリー第3章 組織創設・構築における謙虚なリーダーシップ
第4章 医療センターをレベル2の文化へ変革する第4章 組織改革における謙虚なリーダーシップ
第5章 アメリカ軍における謙虚なリーダーシップ第5章 謙虚なリーダーシップにおけるグループダイナミクス
―第3部 文化と、謙虚なリーダーシップの未来
第6章 ヒエラルキーや意図せぬ結果が謙虚なリーダーシップを阻害してしまうとき第6章 謙虚なリーダーシップにおける文化のダイナミクス
第7章 謙虚なリーダーシップと未来第7章 謙虚なリーダーシップの未来を予測する
第8章 謙虚なリーダーシップでは、「ソフトなもの」を強化する必要がある第8章 謙虚なリーダーシップのメッセージ
―第4部 謙虚なリーダーのための経験学習
第9章 パーソナイズする――レベル2のつながりをつくる第9章 謙虚なリーダーシップに求められる態度を身につける
―第10章 謙虚なリーダーシップに必要な行動とグループスキル

行をそろえたのは章番号で、内容の対応ではない。そのうえで、表から読み取れる変化は3つある。

  • 1. 章題が一致するのは第1章だけ第2章から第10章まで、旧版と同じ章題は1つもない。章題を見る限り、部分的な手直しというより、章立てを組み直した版と言える。
  • 2. 国や組織の名前が章題から消えた旧版の第3章〜第5章は、シンガポール・医療センター・アメリカ軍と、舞台がそのまま章題になっていた。新版では同じ位置が「組織創設・構築」「組織改革」「グループダイナミクス」という場面の名前に変わり、第2部「事例」としてまとめられている。ただし、これは章題の変化で、旧版の事例が本文から削られたかどうかは確認できていない。原著第2版の英語版元の紹介には、医療・政府・軍などの例で説明する本だと書かれている。
  • 3. 部が新設され、最後に「経験学習」の部が付いた新版は4部構成で、新版の「はじめに」によれば、第4部の2章は読者にとって「次のステップとなるワーク」を紹介する章だ。旧版にも、版元紹介に「詳細な読書ガイドと、1人でできる振り返りの方法、そして、実践のためのファーストステップを提示。」とあり、実践の手がかりは旧版の時点で用意されていた。新版ではそれが独立した部の形になっている。

新版の「はじめに」は英治出版オンライン(note)で全文が公開されていて、その「本書の構成」の節で各章の役割が説明されている。買う前に新版の書きぶりを確かめたい場合は、まずここを読むのが早い。

原著第2版と、シャインが最後に完成させた本

新版は、2023年8月に米国で出た原著第2版(Berrett-Koehler Publishers)の邦訳にあたる。原著の版元は第2版について「This second edition includes three new chapters.」と書いていて、新しい章が3つ加わったという説明だ。どの章が新しいかの対応は、英語の紹介文と目次で章番号の書き方がそろわない部分があるため、この記事では断定しない。

新版の「はじめに」には「新版について」という節があり、冒頭に「この新版は、2018年に出版した初版がもとになっている〔邦訳版は2020年〕」とある。続けて、謙虚という概念を広げて「状況に対する謙虚さ」に焦点を当てること、リーダーシップと文化の関係を掘り下げることが述べられている。初版で人的システムの比喩に「機械」を用いていたことを、著者自身が振り返っている箇所もある。

もう1つ、時系列として押さえておきたいのが著者の逝去だ。英治出版オンラインの編集部は、シャイン教授について「惜しくも2023年1月に逝去されましたが、その直前の2022年12月に本書を完成させました。」と紹介している。原著第2版の刊行(2023年8月)も邦訳(2026年7月)も没後で、新版の版元紹介は本書を、第一人者が最後に伝えたかった原則と位置づけている。

年月できごと
2018年原著初版 Humble Leadership 刊行
2020年4月邦訳(旧版)刊行
2022年12月第2版の原稿が完成(英治出版オンラインの紹介による)
2023年1月エドガー・H・シャイン逝去
2023年8月原著第2版刊行
2026年7月31日邦訳[新版]刊行

旧版を持っている人、これから買う人の判断材料

新旧のどちらを選ぶかは、手元の状況で分かれる。2026年10月4日時点で確認できた事実を、立場別に並べておく。

これから初めて買う場合

電子書籍で読みたいなら、選択肢は事実上新版になる。旧版のKindleストアページは「ページが見つかりません」と表示され、Amazonの旧版商品ページにもKindle版の選択肢が出てこない。版元サイトの旧版ページも在庫切れの表示で、新版への案内が付いている。旧版を新しく手に入れるなら、紙の本の在庫か中古が中心だ。なお、Kindleのページが開けないことは、すでに購入した人のライブラリの扱いとは別の話で、ここでは販売終了とまでは断定しない。

旧版をすでに持っている場合

当ブログの手元にあるのも、2020年11月にKindleで購入した旧版だ。旧版を持っている人が新版を足すかどうかは、版元が新版の追加点として挙げる「状況に対する謙虚さ」と、新しく部として独立した第4部「経験学習」を必要とするかが目安になる。章題が第1章以外すべて変わっているので、旧版の章を手がかりに新版の該当箇所を探す読み方はしにくい。一方で、訳者は同じで、頁数もほぼ変わらない。

音声で聴きたい場合

新旧とも、audiobook.jpとAudibleでは音声版が見当たらなかった(2026年10月4日時点)。耳で読みたい場合は、今のところ待つことになる。

新版をKindleか楽天Koboで買うなら、セールやクーポンの時期を見て選ぶのも1つの方法だ。電子書籍ストアごとの値引きの傾向は、別の記事で比べている。

関連記事: 電子書籍のセール・クーポンが多いアプリ徹底比較|お得に買う3選

同じように「新しい版で足りるか、旧版との違いは何か」を整理した記事としては、キャズムのVer.2を扱ったものがある。版の違いの見方の参考になる。

関連記事: キャズムはVer.2でいい?旧版との違いと事例の古さの補い方

次に読む本と、組織づくりの棚

新版の副題「役割を超えた関係が、組織の力を解き放つ」、旧版の副題「1人のリーダーに依存しない組織をつくる」。どちらも、リーダー個人より組織の側に目を向けた題だ。同じ方向の本として、当ブログでは次の記事を書いている。

  • 組織の学習と文化から考えたいならピーター・センゲ『学習する組織』。分厚い本なので、マンガ版から入る読み方を紹介している。
  • リーダー1人に頼らない組織の形を見たいなら『ティール組織』。500ページを超える本の読み進め方をまとめた。
  • チームを任されて何から読むか決めたいなら組織づくりの名著を、読む順番で並べたまとめ記事がある。

関連記事: 学習する組織は難しい?マンガ版から入る2段読みのすすめ

関連記事: ティール組織は理想論?500ページで挫折しない読み方

訳者の野津智子さんは、エイミー・C・エドモンドソンの『チームが機能するとはどういうことか』『恐れのない組織』も訳している。新版の推薦者がエドモンドソン教授であることも含め、同じ英治出版の組織・チームの棚でつながる本だ。

まとめ|9章が10章になった本をどう選ぶか

  • 構成旧版の全9章から新版の全4部10章へ。章題が同じなのは第1章だけ。
  • 中身の追加点(版元の説明)「状況に対する謙虚さ」というコンセプト。原著第2版の版元は新章3つと説明している。
  • 変わらない点著者・訳者・版元・判型・版元表記の240頁。
  • 入手のしやすさ新版はKindleと楽天Koboあり。旧版はKindleストアページが開けず、紙の在庫か中古が中心。音声版は新旧ともなし。

これから読むなら、電子版がある新版から入るのが手に入れやすい。旧版を持っているなら、新版の「はじめに」を英治出版オンラインで読み、追加された考え方と第4部の位置づけを確かめてから決めても遅くない。

謙虚なリーダーシップ[新版] 表紙謙虚なリーダーシップ 旧版 表紙

『謙虚なリーダーシップ[新版]』と旧版(英治出版)

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