そして誰もいなくなったと十角館の殺人、どっちを先に読む?

「『そして誰もいなくなった』を読まずに『十角館の殺人』を読んだ人が、『ラストの意味が分からない』と質問しているケースがたびたびある」。
Q&Aサイトの回答者が実際にこう書いています。この2冊、どちらも孤島ものの超有名作でありながら、読む順番についての専用の解説はなぜかほとんど見つかりません。買う前にここで迷って止まっている人は、想像以上に多いはずです。

この記事は、その「どっちを先に読むか」だけに答える記事です。結論と根拠、そして反対意見まで、仕掛けや犯人には一切触れずに整理します。筆者は2冊とも2022年に購入して手元に置いています。

PR:本記事はプロモーションを含みます。

そして誰もいなくなった 表紙

『そして誰もいなくなった』

アガサ・クリスティー/クリスティー文庫(Kindle版)

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結論: 先に読むなら「そして誰もいなくなった」

迷っているなら、『そして誰もいなくなった』→『十角館の殺人』の順をすすめます。

理由をひとことで言えば、十角館のある場面の「重み」が、そして誰もを知っているかどうかで変わるからです。物語が分からなくなるわけではありません。ただ、変わるのは分かるかどうかではなく、どれだけ深く刺さるか。せっかく両方読むつもりなら、深く刺さる順で読まない手はありません。

逆に「十角館だけ読めればいい。クリスティーを読む予定はない」という人は、順番を気にせず十角館から入って構いません。この場合分けが本記事の結論のすべてです。

2冊の関係をネタバレなしで説明する

『そして誰もいなくなった』は1939年発表、孤島に招かれた10人が次々と…という海外古典の金字塔。『十角館の殺人』は1987年発表、孤島の館に合宿に来た大学ミステリ研を襲う連続殺人で、「新本格」と呼ばれる流れの起点になった作品です。

そして十角館は、そして誰もいなくなったへのオマージュ(敬意を込めた下敷き)を含む作品として知られています。作中の人物たち自身がクリスティーを愛読するミステリ研のメンバーであり、先行作の存在が物語の空気に織り込まれている。ここまでは裏表紙や公式紹介の範囲で、ネタバレではありません。

大事なのは、オマージュ=続編ではないこと。物語は完全に独立していて、片方を読まないともう片方が理解できない、という関係ではありません。だからこそ「どっちでもいい」という意見も成り立つのですが、それでも順番派が絶えない理由が次の節です。

「そして誰もが先」派の根拠

Q&Aサイトでこの質問に付いた回答は、おおむねこう要約できます。

  • 先に読むと、十角館の「感慨」が自力で分かる「まず『そして誰もいなくなった』を読み、あまり間をあけずにオマージュとして書かれた『十角館の殺人』へと続ける。こういうところを意識して書かれたのかと感じる。これが良い」という回答が典型です。
  • 逆順だと、後から答え合わせが必要になる前述のとおり「ラストの意味が分からない」という質問が繰り返し投稿されており、回答しようとするとそして誰もの結末に触れざるを得ない、という状況が実際に起きています。つまり逆順は、古典側のネタバレを踏むリスクを自分で高める順番でもあるのです。

付け加えるなら、発表順に読むことは「1939年の衝撃を1987年がどう受け継いだか」という時間の流れをそのまま体験することでもあります。ミステリー史の入口としても、この順が自然です。

「どちらでもいい」派の根拠も公平に

一方で「重複する箇所や、そして誰もを読んでいないと物語が分からなくなるといったことはないので、どちらを先に読んでも大丈夫」という回答も実在します。これも正しい。物語の独立性は事実だからです。

要するに対立ではなく、基準の違いです。「物語が分かるか」を基準にすればどちらでもよく、「深く刺さるか」を基準にすればそして誰もが先。本記事が後者をすすめるのは、この2冊を検索してここへ来た人は、両方読む可能性が高いと考えるからです。

2冊まとめて読む人の買い方

続けて読むなら、最初から2冊揃えてしまうのが結局いちばん快適です。間を空けないほうがオマージュの響き合いを感じやすいので、1冊目の途中で2冊目を注文するくらいでちょうどいい。

筆者は2022年5月30日に、この2冊を含むミステリー6冊を一晩でまとめ買いしました。単価は購入当時846円と860円。文庫の電子版はセールの対象になることも多いので、まとめ買いの前にセール状況を覗いておくと無駄がありません(価格は時期により変わります)。

関連記事: 電子書籍のセール・クーポンが多いアプリ徹底比較|お得に買う3選

2冊目の『十角館の殺人』はこちらです。

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読み終えたら次へ進む2つの道

2冊を読み終えたときの分かれ道は、はっきりしています。十角館側が刺さったなら館シリーズと新本格へ。そして誰も側が刺さったならクリスティーの他作品へ。それぞれ順番ガイドを用意しました。

関連記事: 十角館の殺人から始める新本格入門|館シリーズの読む順番

関連記事: アガサ・クリスティーはどれから読む?挫折しない最初の1冊

まとめ|順番で「分かる」は変わらない。「刺さる」が変わる

そして誰もいなくなったと十角館の殺人、どっちを先に読むか。

  • 両方読むつもりなら、そして誰もが先十角館の感慨が自力で分かり、古典側のネタバレを踏むリスクも消えます。
  • 十角館だけなら、順番は不要物語は独立しています。読みたいほうから読んで大丈夫。
  • 続けて読むなら間を空けない響き合いは記憶が新しいほど濃くなります。まとめ買いが快適です。

孤島に渡る船は、どうせ2便あります。順番よく乗れば、2便目の景色が変わります。

『そして誰もいなくなった』をチェック

そして誰もいなくなった 表紙

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