十角館の殺人から始める新本格入門|館シリーズの読む順番
「『十角館の殺人』が全く楽しめなかった場合、綾辻行人はもういいですか?」 Q&Aサイトに実際にあった質問です。裏を返せば、みんな薄々わかっている。十角館は入口として有名すぎて、「これが合うかどうか」が新本格というジャンル全体との相性判定みたいになっていることに。でも本当は、判定はそんなに単純ではありません。 この記事では、新本格とは何かを1分で押さえたうえで、館シリーズ全9作の読む順番と、十角館が合わなかった場合の「横の入口」まで案内します。仕掛けや犯人に関わる情報は書きません。 PR:本記事はプロモーションを含みます。 『十角館の殺人〈新装改訂版〉』 綾辻行人/講談社文庫(Kindle版) Amazonで見る(Kindle版) 目次 結論: 入口は十角館、シリーズは刊行順 新本格とは何かを1分で まず十角館1冊で判断していい理由 館シリーズ全9作の読む順番 十角館が合わなかったときの横の入口 シリーズを一気読みするなら 結論: 入口は十角館、シリーズは刊行順 結論は2行で済みます。 新本格の入口は『十角館の殺人』。館シリーズを続けるなら刊行順 。順番を扱う記事の結論は、この点でほぼ一致しています。各作品は独立して読めるものの、シリーズ全体で積み上がるものがあり、順番どおりに進むほうが後半の作品を深く楽しめるからです。 ただし、この記事はもう一歩先まで面倒を見ます。「十角館が合わなかったら終わり」ではない、という話です。それは後半で。 新本格とは何かを1分で むずかしい定義は要りません。1987年、綾辻行人のデビュー作『十角館の殺人』から始まった、 謎解きの面白さを真ん中に置き直したミステリーの流れ 。それが「新本格」と呼ばれるものです。 館・孤島・見取り図・名探偵。古典本格の道具立てを現代の書き手が使い倒す、と言い換えてもいい。だから新本格の入口は理屈抜きに「その起点となった1冊」でいいのです。歴史の順に入ると、いちばん驚ける位置に立てます。 まず十角館1冊で判断していい理由 シリーズ9作を前に「全部読む覚悟がないと始められない」と構える必要はありません。 各作品はきちんと完結している 刊行順が推奨されるのは「より深く楽しめる」からであって、「読まないと分からない」からではありません。1冊...