けっきょく、よはく。と漫画版はどっち?シリーズ5冊の順番

「漫画版と原書、中身が同じなら両方は要らない?」
『けっきょく、よはく。』を勧められて書店や通販を見ると、同じ書名の漫画版が並んでいて手が止まる。この記事では、原書と漫画版の関係、シリーズ5冊の刊行順、電子版の形態を版元の書誌から整理し、どれから買うかの判断材料をまとめる。
版元ソシムの紹介には「余白が怖くてつい盛ってしまう」「ダメじゃないけど、なんかダサい」という言葉が並ぶ。チラシや社内資料を自分で作ることになり、この悩みからシリーズに行き着いた人が、買う前に確かめたいことだけを扱う。
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原書と漫画版はどっち?
漫画版は別の本ではなく、同じシリーズのコミカライズだ。作例を並べて見比べたいなら原書、話の流れに沿って入りたいなら漫画版。選ぶ基準は内容の新旧ではなく、本の形式にある。
漫画版の正式な書名は『漫画でわかる けっきょく、よはく。デザインは「余白」が9割』。著者は原書と同じingectar-eで、版元も同じソシム。作画として大舞キリコ氏が加わっている(Amazonの表記は「イラスト」、国立国会図書館の書誌では「作画」)。版元はこの本を、シリーズ累計50万部を突破した『けっきょく、よはく。』のコミカライズと紹介し、公式のシリーズページにも並べている(2024年の版元商品説明より)。
当ブログが持っているのは原書のKindle版と、シリーズ2冊目の『ほんとに、フォント。』のKindle版。どちらも2021年3月16日に、ほかのデザイン書と一緒にまとめて購入した。漫画版との比較は、版元の紹介と書誌の範囲で行う。
| あなたの状況 | 向く本 | 理由 |
|---|---|---|
| 作ったチラシや資料の横に置いて、作例を見比べたい | 原書 | 業種別9章の作例集。NGとOKの作例を並べる作り |
| 文字の多い実用書は途中で止まりがち | 漫画版 | デザイン事務所の2人を軸にしたストーリー形式 |
| 原書をすでに持っている | 追加は急がなくてよい | 同じ著者・同じテーマの本。形式違いが欲しくなってからで遅くない |
| 余白の次に、文字や色でも迷っている | シリーズの続刊 | フォント・あしらい・配色と、1冊ごとに着目点が違う |
「中身が同じなら両方は要らない」という見方は、半分あたっている。テーマも著者も同じだからだ。ただ、片方は作例集、もう片方は漫画。読む体験は大きく変わる。
シリーズ5冊の順番
版元ソシムの公式シリーズページに載っているのは5冊。刊行順に並べると次のとおりだ。
| 順 | 書名 | 発売日(版元) | 判型・ページ | ISBN |
|---|---|---|---|---|
| 1 | けっきょく、よはく。(当ブログ所持・Kindle) | 2018年7月20日 | A5・240ページ | 978-4-8026-1169-5 |
| 2 | ほんとに、フォント。(当ブログ所持・Kindle) | 2019年2月20日 | A5・240ページ | 978-4-8026-1208-1 |
| 3 | あたらしい、あしらい。 | 2020年8月31日 | 未確認 | 978-4-8026-1267-8 |
| 4 | いろいろな、いろ。 | 2021年12月3日 | 256ページ | 978-4-8026-1345-3 |
| 5 | 漫画でわかる けっきょく、よはく。 | 2024年3月27日 | A5正寸・240ページ | 978-4-8026-1445-0 |
表を読むうえでの補足を3つ。
- 4冊目の発売日『いろいろな、いろ。』は版元の書誌が2021年12月3日、PR TIMESのリリースと著者側の告知は12月4日発売となっている。表は版元に合わせた。
- 「第何弾」の呼び方『ほんとに、フォント。』は商品説明などで「第2弾」、『いろいろな、いろ。』はPR TIMESで「シリーズの第4弾」と呼ばれている。漫画版を「第5弾」と呼ぶ版元の資料は見当たらないため、ここでは「シリーズの漫画版」とした。
- 著者5冊とも版元表記の著者はingectar-e。『あたらしい、あしらい。』を別の名義で紹介する記事もあるが、版元の書誌に従った。
シリーズ最新刊は2024年の漫画版で、それ以降、公式シリーズページに新しい本は加わっていない(2026年10月17日時点)。どれから読むべきかの決まりはない。ただ、1冊目の原書とその漫画版はどちらも余白がテーマで、2冊目以降はフォント、あしらい、配色とテーマが分かれていく。
原書と漫画版の違いは「形式」
原書と漫画版を書誌と版元の紹介で並べると、違いは「何が書いてあるか」より「どう見せているか」にある。
| 項目 | 原書 | 漫画版 |
|---|---|---|
| 著者のクレジット | ingectar-e | ingectar-e 著・大舞キリコ 作画 |
| 刊行 | 2018年7月20日 | 2024年3月27日 |
| 判型・ページ | A5・240ページ(オールカラー) | A5正寸・240ページ(カラーと1色刷り) |
| 形式 | 業種別の作例集。NGとOKの作例を並べる | デザイン事務所を舞台にしたストーリー |
| 構成 | Chapter 1 CAFE DESIGNからChapter 9 LUXURY DESIGNまでの9章 | 版元の目次は画像のみで、本記事では未確認 |
原書は、カフェのポスター、会社案内、プレゼン資料、名刺といった作例を章ごとに収め、各章に余白にまつわるコラムを置く構成だ(版元の目次より)。レビューでも「NGとOKを並べた本」という受け止め方が目立つ。比較が一目でわかるという声がある一方で、感覚的でもっと根拠がほしいという声もあり、作例を自分の制作物と見比べる使い方に向く本と言えそうだ。
漫画版の舞台はデザイン事務所。デザイナー歴5年の「しゅっと先輩」と、歴2年の「いまいちさん」が登場する。版元によれば、2人は原書でもおなじみのキャラクターで、打ち合わせ帰りに立ち寄ったピザ店の新メニューのポスターに関わるところから話が始まる。
読者の声も形式の違いに集まっている。漫画版には「マンガになっているので読みやすい」というレビューがあり、主人公が一気に上達しない展開を書いた読書メモもあった。活字の実用書が続かない人の入り口、という位置づけになる。
漫画版の章立ては、テキストで確認できなかった。原書の9章と同じ順に進むのか、どの作例が漫画に入っているのかは、本記事では比べていない。買う前に確かめたい場合は、書店のプレビューで冒頭を見ておきたい。
シリーズに入らない本と、改訂版の有無
シリーズの範囲で迷いやすい点がもう1つある。版元の書籍ページの「関連する書籍」には、同じ著者・同じ版元の本が並ぶ。その中にはシリーズ外の本も混ざっている。
- 最強構図 知ってたらデザインうまくなる。2023年1月26日刊。ingectar-e著・ソシム。公式シリーズページには入っていない。
- トンマナの基本2025年12月26日刊。同じ著者・同じ版元の近刊だが、こちらもシリーズ外。
- 別の版元から出ている同じ著者の本インプレスの『3色だけでセンスのいい色』など。シリーズとは別の本だ。
「シリーズを全部そろえたい」なら、対象は上の表の5冊。書名が「〜、〜。」の形をとっていない本は、関連書と考えてよい。
もう1つ、検索で「中古」が並ぶ理由にも触れておく。原書は2018年刊だが、版元にも国立国会図書館の書誌にも改訂版や新版の記載はない。版は2018年の1つだけなので、中古で見かける原書も、いま新品で売られている原書も同じ版だ。「古い版を買ってしまう」心配はない。
非デザイナーが資料作りのために読むデザインの定番書は、ほかにも版の違いで迷う本がある。改訂が重なった本を年表で整理した記事も参考にしてほしい。
関連記事: 伝わるデザインの基本は3版を買う?2016年版との違いと版の年表
入門書を版ごとに比べたい人は、こちらも。
関連記事: デザイン入門教室は古い?2015年版と増補改訂版の違いと目次
電子版はスマホで読める?
読めなくはないが、前提はタブレットなど大きい画面だ。原書・『ほんとに、フォント。』・漫画版のKindle商品ページには、3冊とも同じ注意書きがある。「タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています」。あわせて、文字だけの拡大、ハイライト、検索、辞書の参照、引用といった機能は使えないと書かれている。紙面をそのまま映す固定レイアウトの電子書籍だ。
| 本 | Kindle | ファイルサイズ | 楽天Kobo |
|---|---|---|---|
| けっきょく、よはく。 | 固定レイアウト | 97.4MB | 配信あり |
| ほんとに、フォント。 | 固定レイアウト | 92.4MB | 配信あり |
| 漫画でわかる けっきょく、よはく。 | 固定レイアウト | 未確認 | 配信あり |
手元の2冊は、Kindleの表示でどちらも243ページ、ファイルサイズは90MBを超える。端末の空き容量に余裕を見ておきたい本だ。作例の細部まで見たいなら、スマホより大きな画面のほうが向いている。
楽天Koboでも3冊とも電子版が配信されている。ただ、Kobo版のレイアウト形式は確認できていない。原書のKobo版の発売日は2023年1月30日と表示されており、紙の刊行より後から配信が始まったものとみられる。なお、Kindleの商品ページに読み放題の購入表示はなく、Kindle Unlimitedの対象には入っていなかった(2026年10月17日時点)。
固定レイアウトの本をどのアプリやストアで読むかは、別の記事で比べている。
関連記事: ビジネス書を読むならどの電子書籍アプリ?目的別に徹底比較
大きい画面の端末から選び直す場合は、こちら。
関連記事: 電子書籍リーダーおすすめ比較|KindleとKoboどっちを選ぶ?
まとめ|形式で選び、続刊はテーマで選ぶ
- 漫画版は同じシリーズ同じ著者ingectar-e・同じ版元ソシムのコミカライズ。作画に大舞キリコ氏が加わった本で、版元の公式シリーズページに並ぶ。
- どっちを買うか作例を見比べたいなら原書、話の流れで入りたいなら漫画版。原書を持っているなら追加は急がなくてよい。
- シリーズ5冊の順番2018年 けっきょく、よはく。→2019年 ほんとに、フォント。→2020年 あたらしい、あしらい。→2021年 いろいろな、いろ。→2024年 漫画版。最強構図やトンマナの基本はシリーズ外。
- 改訂版原書の版は2018年の1つだけ。中古も新品も同じ版。
- 電子版Kindleは3冊とも固定レイアウトで、タブレットなど大きい画面向き。楽天Koboにも3冊とも電子版がある。
迷ったら、まず自分が作るもののそばに置いて使いたいのか、通して読みたいのかを考えてみてほしい。その答えが、原書と漫画版の分かれ目になる。





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